1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640418
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Research Institution | Tsuru university |
Principal Investigator |
山本 安夫 都留文科大学, 文学部, 教授 (80124866)
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Keywords | 中性子過剰ハイパー核 / ハイパー核のγ線スペクトル / ΛN相互作用のスピン・オ-ビット成分 / ΛN相互作用のスピン・スピン成分 / ハイパー核の三体・四体構造 / ハイパー核のSkyrme-Hartree-Fock計算 / ハイパロン・核子OBE模型 / ΞN及びΞ核間相互作用 |
Research Abstract |
平成8年度の研究実績は以下の通りである。まず、平成7年度に投稿された論文「Three-body model study of A=6-7 hypernuclei : halo and skin structures」が5月に出版された(Phys. Rev. C53 (1996) 2075)。この研究は肥山詠美子、上村正康(九大理)、元場俊雄(大阪電通大)、山田泰一(関東学院大)と各氏と共同でなされたもので、A=6-7体の中性子(もしくは陽子)過剰Λハイパー核に出現し得る中性子(陽子)ハロ-・スキン構造が、組み替えチャネル結合ガウス関数基底変分法による三体模型の精密な取り扱いに基づいて論議された。特に^6_ΛHeがα核+Λスキン+中性子ハロ-の三層構造を有するとの指摘は多大な関心を呼んだ。上記グループによる共同研究は、その後、近い将来に予定されているΛハイパー核のγ線の精密測定実験によって励起スペクトルが数keVのオーダーで得られるであろう事を見据え、ΛN相互作用の特徴(特にスピン依存力)しハイパー核構造との関連を精密な三体・四体計算を通じて解明する方向に発展した。まず、α+α+Λの簡単な三体構造を有する^9_ΛBeの[2+(^8Be)【cross product】(1/2)_Λ]_<5/2, 3/2>スピンダブレットのエネルギーを精密に計算し、ΛN相互作用のスピン・オ-ビット成分と曖昧さなしに結び付けられる事を示した。他方、従来よりスピン・スピン成分の唯一の実験的情報は^4_ΛH(または^4_ΛHe)の0^+-1^+スピンダブレット状態であったが、我々はp+n+n+Λ四体計算を遂行し、大きな不定性のあるΛN OBE模型のスピン・スピン成分を決定する事を試みた。同様にほとんどスピン・スピン成分によって決まる^7_ΛLi (α+p+n+Λ)のスピンダブレット状態を解析した。その結果、スピン・スピン成分は必ずしも^4_ΛHのデータでユニークに決まっているわけではなく、^7_ΛLi等のデータが相補的に使われるべきである事が示された。エネルギー・スペクトルに対し、スピン・オ-ビット成分とスピン・スピン成分が個別に発現する系を選び精密に解析するのが、我々の当面の戦略である。成果は、第25回INS国際シンポジウム(1996年12月3-6日)に於いて、研究代表者(山本)によって発表された(招待講演)。 本年度行った他の研究としては、まず、モスクワ大学のD. E. Lanskoyとの共同で行ったSkyrme-Hartree-Fock計算によるΛハイパー核の励起スペクトルの系統的分析がある。スカ-ム型のΛN相互作用のパラメータがOBE相互作用を用いるG行列計算結果に基づいて決められた。データとの精密な比較の結果、ΛN相互作用の奇成分は平均的にはほとんどゼロ、もしくは弱い斥力である事が示された。結果は近くPhysical Review Cに掲載されることが決まっている。また、仲澤和馬氏(岐阜大教育)と共同で、KEK-E176実験でエマルジョン仲で発見された、Ξ^-吸収後のΛハイパー核の放出イベントより、Ξ_-核間相互作用(従ってΞΛ相互作用)の重要な情報が得られる事を示した。結果は近く投稿の予定である。 補助金の主な使途は、共同研究者との研究連絡や論文作成、その他の研究者との議論のための旅費である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] E. Hiyama, M. Kamimura, T. Motoba, T. Yamada, Y. Yamamoto: "Three-body model study of A=6-7 hypernuclei : Halo and skin structures" Physical Review. C53. 2075-2085 (1996)
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[Publications] D. E. Lanskoy, Y. Yamamoto: "Skyrme-Hartree-Fock treatment of Λ and ΛΛ hyrevnuclei with G-matrix motivated interactions" Physical Review. (発表予定). (1997)