1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640437
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
富永 靖徳 お茶の水女子大学, 理学部・物理学科, 教授 (00013540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜谷 望 お茶の水女子大学, 理学部・物理学科, 教授 (70156420)
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Keywords | 低振動数ラマン分光 / 高圧力 / 水の動的構造 |
Research Abstract |
本年度は、高圧力下の水の動的構造を調べるための高圧力発生装置の建設を進めた。それと併行して、常圧下での水の同位体の低振動数ラマン散乱を行った。これは、高圧力下で低振動数ラマン散乱スペクトル測度を行ったときの比較のためである。高圧力発生には通常の油圧式を採用することとした。圧力は0.3GPaまでを目標にしている。この圧力は、室温で水の圧縮率の異常性が消失するのに十分な圧力で、水の異常性を消失させた状態での低振動数ラマンスペクトルを測定することにより、逆に水の異常性の特質を明らかにするのが目標である。 水の試料セルは石英で作成した。この石英のセルをステンレス性の保護容器に収納し、それらを圧力容器にいれる。圧力容器もステンレスで設計した。この圧力容器と高圧力発生装置につなぐための工作が現在進行している。 高圧力装置の準備と併行して、常圧下での水の同位体の低振動数ラマン散乱スペクトルの解析を行った。水の同位体としては、H_2O、D_2O、H_2^<18>O、D_2^<18>Oを用いた。これらのラマンスペクトルを比較することにより、以下の事柄がわかった。1)1000cm^<-1>以上の高振動数のラマンスペクトルに現れる大きな振動モードは、水分子における、O-H間の分子内振動モードであることが、これら4個の同位体分子の振動数の変化より確認された。2)250cm^<-1>以下の低振動数領域に現れる、分子間振動モードについては、高振動数側のモードは、酸素原子のみが主に動く伸縮振動であることまた、低振動数側のモードは水分子全体が動く変角振動であることが、それぞれの振動数の変化よりあきらかになった。3)スペクトルの中心成分から得られる緩和モードの緩和時間は、酸素については、HとDで差がでたが、酸素18については、室温付近でHとDで差がでなかった。この原因はわかっていない。温度変化をさらに検討することにしている。
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