1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640438
|
Research Institution | Univ.Electro-Communications |
Principal Investigator |
重成 武 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (90017335)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 浩二 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20183139)
|
Keywords | レーザー / 氷 / プロトン / 蛍光 / 相転移 / 融解 |
Research Abstract |
本研究では,先に我々の研究室で開発した2-ナフトールを蛍光プローブとしたピコ秒パルスレーザー励起蛍光法による実験によって,氷中のプロトンの動きを光学的に探る方法を確立した.本研究課題によって次のことが明らかになった. (1)パルス励起後の蛍光の減衰曲線から得られる寿命とそのうちの2成分の強度比の温度変化はともにESPT(励起状態プロトン移動)モデルでよく説明できる.(2)氷中のプロトンの移動度は,L欠陥の移動度の増加を反映して120K以上で増大するが,その影響は中性励起ナフトールからの蛍光寿命の温度変化として検出できる.(3)72Kで起こるプロトンの秩序化相転移(Ih相からXI相への相転移)が蛍光寿命の短縮化として検出された.このことは強い1次の相転移においてこの方法が有効なことを明らかにした.また(4)これまでKOHドープの氷のみで観測されたこの相転移が,KOHがなくても局所には起こっていることを示しておりこの相転移が氷本来の性質であること,いいかえれば巨視的にはIce-Ruleによる制約により相転移が起きにくくなっていることを示唆している.(5)プローグとしての2-ナフトールの氷結晶中への取り込まれ方を明らかにするため,不純物の少ない2-ナフトール結晶を真空昇華法により作成しそのスペクトルと,氷中のスペクトルとの比較からその微細構造の同定を行った.その結果ゼロフォノン線のシフト量の異なるいくつかのタイプのスペクトルがあらわれることが判明し今後の研究の基礎となるデータが得られた.融解に関する研究はこれらをふまえて継続中である. これらの結果はいくつかの論文に公表した.特に1996年米国NewHampshireでおこなわれた国際会議Physics and Chemistry of Iceでの発表の結果はJ.Phys.Chem.に印刷中である.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Qi.Ping: "Fluorescence spectra and lifetime of 2-naphtol in H_2O-and D_2O-ICE (Ih) single crystal" Solid State Commun.95. 177-180 (1995)
-
[Publications] T.Akiyama: "A study of proton dynamics in ice using an excited state proton transfer (ESTP) of a dopant molecule and its fluorescence" Physica B. 219 & 220. 574-576 (1996)
-
[Publications] T.Shigenari: "Studies on Fluctuations in Study First-Order Phase Transition by Fluorescence" J.Korean Phys.Soc.29. s764-s768 (1996)
-
[Publications] T.Akiyama: "Effects of Proton Motions on the Fluorescecet from 2-Naphtol-doped-Ice (Ih) and the proton Ordering Transition" J.Phys.Chem.(in press). (1997)