1995 Fiscal Year Annual Research Report
偏光分光法による励起子間相互作用と励起子分子生成機構の研究
Project/Area Number |
07640443
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 哲介 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80026799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 昌明 京都大学, 理学部, 助手 (60240818)
渡邊 雅之 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20240525)
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Keywords | 半導体 / 励起子 / ポラリトン / 励起子分子 |
Research Abstract |
本研究は半導体pbI_2やCuClを用いて励起子ポラリトン相互作用による励起子分子生成の機構を解明することを目的としている。今年度は主にpbI_2の励起子ポラリトンの緩和速度と励起子分子生成の関係を調べる実験を進め、以下のような成果が得られている。 1.励起子分子生成効率の温度依存性。 pbI_2の励起子分子発光効率の温度依存性を測定し、2Kより温度の上昇にともなって分子生成効率が減少することが判った。この変化は励起子分子の熱解離を考慮した解析では説明できず、励起子ポラリトンの緩和速度の温度変化と関係するものと考えられる。 2.反射型四光波混合法による緩和時間の測定。 励起子共鳴四光波混合により生じる非線形信号の時間及びスペクトル応答を測定し、ポラリトン緩和時間を求めた。数100fsの速い位相緩和と100psのオーダーの密度緩和の成分が観測された。これらの緩和時間の励起エネルギーや強度依存性を調べ、分子生成との関係を解析中である。 3.励起子ポラリトン発光寿命の測定。 フェムト秒パルスレーザーを用いてポラリトン発光寿命の温度依存性と励起密度依存性の測定を行った。温度上昇に伴う寿命の減少と1.での分子生成効率の温度依存性の関係、及び、励起密度の増大による寿命の減少と分子生成速度の関係について解析中である。 4.pb_<1-x>Cd_xI_2混晶における局在励起子の励起子分子生成。 混晶化によって励起子ポラリトンの空間広がり制限された場合を、純粋なpbI_2結晶における分子生成と比較するために、混晶における強励起発光スペクトルを調べた。ポテンシャル井戸に捉えられた局在励起子の分子生成が確認された。局在の強さに応じて励起子結合エネルギーが増大し、これが有効質量の変化に起因しているとの結論が得られた。 以上のような知見をもとに、偏光分光法を用いた実験研究を進める計画である。
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[Publications] 牧野哲征: "Excitaion Energy Depeudeuce of Biexciton Formation Efficiency in PbI_2" Solid state Corxrmun. 93. 983-987 (1995)
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[Publications] 渡辺雅之: "反射型四光波混合による励起子ポラリトンの緩和時間の測定" 日本物理学会 1995年秋の分科会講演概要集. 2. 291 (1995)
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[Publications] 牧野哲征: "PbI_2における励起子分子生成レートの温度変化" Proceediugs of the ASIA Symposium on Solid State Photophysies. 167-170 (1995)
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[Publications] 牧野哲征: "PbI_2における励起子分子生成レートの温度変化" 日本物理学会 1996年年会講演概要集. 2. 220-220 (1996)
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[Publications] 渡辺雅之: "反射型四光波混合による励起子ポラリトンの緩和時間の測定 2" 日本物理学会 1996年年会講演概要集. 2. 220-220 (1996)