1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリウム3-ヘリウム4薄膜における2次元フェルミ系の研究
Project/Area Number |
07640462
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福山 寛 筑波大学, 物理学系, 助教授 (00181298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森下 将史 筑波大学, 物理学系, 助手 (90251032)
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Keywords | 量子液体 / 超低温 / フェルミ流体 / 薄膜 |
Research Abstract |
^3He-^4He薄膜において、下地の超流動^4He薄膜の第3音波を媒介とした^3He準粒子間の間接相互作用の大きさは、^3Heを^4He薄膜上に添加していったときの第3音波の音速とダンピングの変化を測定することにより見積もることができる。今年度は、薄膜試料を正確に計量しサンプルセルに導入するためのガスハンドリングシステムの製作、ガラス基盤をもつ第3音波共鳴器の試作、膜厚11nmの純粋^4He薄膜を試料とした100mKの温度までのテスト実験をそれぞれ行った。第3音波の検出は、通常よく用いられるボロメータ法がmK温度域では有効でないので、定在波による静電容量の変化を3端子キャパシタンスブリッジを基にしたダブルロックイン検波法で行い、励起電力が2nWのとき0.2nmに相当する膜厚変化を観測できた。検出された定在波のQ値は約800で、現在Q値をさらに向上させるべく共鳴器の境界条件等に改良を加えているところである。また、これと並行してより高感度な第3音波検出方法への応用を考え、トンネルダイオードを用いた極低温LC共鳴器の試作を行い、共鳴周波数を1×10^<-8>以上の長時間安定性で観測できることを確認した。今後は^3He面密度および^4He膜厚の関数として第3音波の音速とダンピング変化を測定してゆく予定である。 一方、^3He準粒子間の直接相互作用を含めた有効相互作用の大きさを決定するには、比熱および帯磁率測定を行うのが最も有効である。そこで今年度、グラフォイル(剥離性グラファイトフイルム)を吸着基盤とした大表面積(約600m^2)の比熱セルを製作し、現有する銅の一段核断熱消磁装置に搭載して約100μKの超低温度まで断熱法で比熱測定ができることを確認した。今後は、第3音波実験の結果から適当と判断される代表的な^3He面密度および^4He膜厚の薄膜試料について比熱測定を行い、^3He準粒子の有効質量を決定すると共に、その超流動転移の有無について探索する予定である。
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