1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640466
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石原 裕 金沢大学, 理学部, 教授 (10019474)
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Keywords | 一次元伝導体 / 超伝導 / 熱電能 / 電気伝導 / 電荷密度波 / 遷移金属化合物 |
Research Abstract |
一次元性の強い超伝導体であるNb_3X_4(X=S,Se,Te)およびHgを挿入したHg_xNb_3Te_4(x≦0.8)ついて電気抵抗,超伝導,熱電能,圧力効果などの測定を系統的に行い電子状態について研究を行った。得られた成果の主なものは次の通りである。 1.Nb_3Te_4の電気伝導に及ぼすHg挿入効果 Nb_3Te_4の約80Kと30Kにおける抵抗異常はHg濃度を増やすに従い小さくなり,約x>0.2では消失することを見い出した。また、抵抗はHgを挿入するとやや大きくなるが、残留抵抗は殆ど変わらないことを見い出した。このような抵抗の振舞は電子の有効質量がエネルギー依存性を示すと共にHgは散乱核として有効に働いていないことを示唆している。 2.Nb_3Te_4の超伝導特性に及ぼすHg挿入効果 転移温度は低濃度で顕著な増大(2.0Kから5.4K)を示し,濃度約x=0.3で飽和し,x>0.3では多少小さくする傾向を示す。また,c軸に垂直は上部臨界磁場H_<c2⊥>は濃度によらないが,平行な臨界磁場H_<c2⊥>は約x=0.3を境にして顕著な濃度依存性を示す。即ち,異方性比H_<c2⊥>/H_<c2⊥>はx<0.3では約4.5,x>0.3では約40であることを初めて見い出した。 3.Nb_3Te_4の熱電能のHg濃度依存性 Nb_3Te_4の熱電能も抵抗と同様に約80Kと30Kに極大を示すが,濃度を増すにしたがい,80Kの極大は小さくなり,約x=0.3で消失すること,30Kの異常はx=0.8の濃度でも依然として残っていることを初めて見い出した。なお,x>0.3では転移温度近傍における熱電能の符号は負から正に変わる。
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