1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640472
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 裕文 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80191831)
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Keywords | 価数揺動 / 希土類 / 磁場誘起価数転移 / メタ磁性 / 強磁場 / ユーロビウム |
Research Abstract |
希土類化合物の中には価数が温度によって著しく変化するものが存在する。いずれの場合も基底状態は非磁性的であるのに対して高温状態は局在磁気モーメントをもつので、基底状態に強い磁場をかけると価数を変化させることは可能であり、これが磁場誘起価数転移である。われわれはEuの場合磁場によるゼーマンエネルギーの得が大きいことに着目し、約170Kの温度で価数が急激に変化するEuPd_2Si_2の強磁場磁化過程を調べたところ、この物質が6Kで磁場95Tのもとでメタ磁性を起こすことを見いだした。転移磁場より上での磁気モーメントが2価のEuに期待される7μ_Bに近いことから、このメタ磁性は磁場誘起価数転移であると結論される。本年はこの化合物の転移磁場を下げる目的で、PdをPtで置換した系とSiをGeで置換した系を作製し、その強磁場磁化過程を調べた。その結果、Eu(Pd_<1-x>Pt_x)_2Si_2ではx=0.15まで単相試料が得られた。これらの物質の価数が急激に変化する温度Tvはx=0の170Kからx=0.15の105Kまで連続的に変化する。強磁場磁化過程の結果は、いずれの試料でも高磁場下でシャープなメタ磁性転移を示し、価数転移磁場Hvはxの増加に伴って減少し、x=0.15では約60Tまで下がることが明らかになった。また、HvとTvの間には直線的な関係があることが見いだされた。一方、EuPd_2(Si_<1-x>Ge_x)_2では価数転移温度はxの増加につれて急速に減少する。メタ磁性はx=0.07では35T付近に観測されるが、かなりブロードになっていることが特徴である。この系ではメスバウアー効果の結果から、環境効果が強いと考えられており、おそらくx=0.1で大半のEuが基底状態でも2価になってしまうためにメタ磁性はブロードになったものと考えられる。またいずれの系でも、価数転移温度はEu-Pd間の距離によって整理されることも見いだした。
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