1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640514
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿久津 泰弘 大阪大学, 理学部, 教授 (10191850)
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Keywords | 量子スピン / ベ-テ仮設 / 磁化過程 / 数値繰り込み群 / 表面界面 / ラフニング転移 / 結晶平衡形 |
Research Abstract |
1.「光円錐熱ベ-テ仮設法」(ストリング仮説を用いない方法)が,2次元可解統計系における転送行列の高次微分係数として得られる可解量子スピンハミルトニアンに対しても拡張・適用できることを示した.また,この系の物理的性質を議論した. 2.S=1量子スピン鎖で,全体としては非可解(非可積分)であっても,可積分な部分状態空間(よってベ-テ仮設法による厳密解析が可能)をもつ系の研究を行った。可積分部分空間における最低エネルギー状態が,全磁場領域にわたって全系の基底エネルギー状態になっている場合があることを発見した.結果として,非可解系にもかかわらず厳密な磁化曲線(磁化過程)が得られ,また,この系は磁場誘起1次転移をしめすことが明らかになった。 3.近年注目されている密度行列繰り込み群法をしのぐ高い有効性をもつ新手法である,積波動関数繰り込み群法を1次元量子系にも適用可能な形に拡張し,主として反強磁性量子スピン鎖の磁化過程(絶対零度)の研究に応用した.可解系におけるベ-テ仮設解との比較を行い,留保基底数を14程度ときわめて小さくとっても,全磁場領域で、厳密解と判別不能なほどの高精度な磁化曲線が得られることを示した.多くの非可解量子スピン系(S=1,2)に適用し,磁化過程に関して多くの興味深い新知見がえられた. 4.上記積波動関数繰り込み群を、2次元統計系(特に界面模型)に適用した.可解模型における適用の結果,1次元量子系と同様,小さな留保基底数にもかかわらず,高精度の結果が得られることがわかった.非可解界面模型のラフニング相転移にともなう結晶形相転移の問題に適用し,平衡形曲率のユニバーサルなとび(不連続性)を確認した.また,同じ手法を用い,微斜面に関するテラス-ステップ-キンク模型に対し,自由フェルミオン描像の妥当性およびその限界を調べた. 以上の成果を得るにあたって,本年度導入したワークステーション等の計算設備は,数値的行列対角比等の計算において有効に利用され,またその性能も当初の期待以上であった.上記以外の研究(角転送行列の応用等)も行っており,また,上記の研究自体も続行・発展中である.当該設備は次年度においても有効に利用される.
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Research Products
(1 results)