1995 Fiscal Year Annual Research Report
岩石磁気学的シミュレーションと室内実験による非履歴性残留磁化の研究
Project/Area Number |
07640558
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
綱川 秀夫 東京工業大学, 理学部, 助教授 (40163852)
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Keywords | 岩石磁気 / 非履歴性残留磁化 / 熱残留磁化 / 単磁区磁性粒子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、古地磁気学でよく利用されるようになった非履歴性残留磁化の獲得機構について実験と理論の両側面から研究して、それらの結果をできるだけリンクさせていこうとすることである。これまでの研究から次のような結果を得た。 1)同一火山岩岩石試料による室内実験では、岩石の種類や熱磁気分析による違いにかかわらず、非履歴性残留磁化/熱残留磁化=0.2〜0.5である。また、保磁力の大きい部分ほど、その比は小さくなり、非履歴性残留磁化獲得効率が落ちる。 2)非履歴性残留磁化は、一般的に交流磁場減少速度に依存しないと思われている。しかし、本研究の実験(200Hz)では2mT/sより速いと獲得効率が小さくなることが示された。 3)チタノマグネタイト多磁区粒子と思われる試料で、非履歴性残留磁化を与えたあと部分熱残留磁化を付加する実験から、著しい磁性粒子間相互作用を示唆された。 4)非履歴性残留磁化の近似計算でより厳密に取り扱ったとするWalton(1990)の計算には誤りがある。正しい計算式にすると、等方的分布の単磁区磁性粒子では非履歴性残留磁化強度がNeelの理論による熱残留磁化強度よりも数倍大きくなり、実験結果とあわない。また、保磁力スペクトルも実験結果と矛盾する。 5)交流磁場による磁気モーメントの揺れを熱による揺れと同等に扱えば、非履歴性残留磁化理論的計算結果は実験結果とよく一致する。このような現象論的取り扱いの物理的背景をさらに追求する必要がある。 6)現象論的取り扱いを交流消磁・熱消磁や古地磁気強度実験に応用すると、従来の方法に不十分な点があり、実験方法の改良が求められることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Tsunakawa: "Doconvolution method for directions of the post-depositional detrital remanent magnetization using an exponential fixing function." J.Geomag. Geoelectr.47. 551-576 (1995)
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[Publications] H.Tsunakawa, M.Okada & N.Niitsuma: "About 100year directional variations in Matsuyama-Brunhes transition field in ferred from the sedimentary records in the Boso Peninsula, Japan." J.Geomag. Geoelectr.47. 337-345 (1995)