1996 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の深層水形成のダイナミクス-実験的アプローチ-
Project/Area Number |
07640571
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 敏 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30144299)
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Keywords | 回転対流 / 室内実験 / 深層水 |
Research Abstract |
海洋の深層水形成のメカニズムの1つとして,回転系の熱対流について,理想的考察および,室内実験を行った.まず,回転系の力学を理論的に考察することにより,回転系の熱対流の水平スケールを理論的に求めることに成功した.この水平スケールはレイリー数やテイラー数に対して,単調な依存性を示さず,かなり複雑な変化をする. 室内実験では,作業流体中に分散させた液晶カプセルにスリット光を照射することにより,流体中の温度のパターンを可視化した.広いパラメータレンジで実験を行い,温度のパターンから水平スケールを求めた.この結果は,理論的なスケールにほぼ一致し,理論的考察の正当性が裏づけられた. さらに,力学的なバランスを調べるため,温度と速度の分布を定量的に測定することを試みた.まず,液晶の色は温度だけでなく,入射光に対する観察方向にも大きく依存し,この実験のように入射校に対して90度の方向から観察する場合は,メーカの色サンプルが使えない.したがって,独自に温度と色の対応表を作り,画像をコンピュータに取り込んで,色の情報を温度の情報になおすことに成功した.さらに,ビデオ画像をコンピュータ取り込んで液晶カプセルの粒子をコンピュータ上で追跡することにより,速度分布を求めることに成功した.この定性的な解析は,まだ一部の実験についてしか行われていないが,少なくとも,解析したケースにおいては流れがほぼ地衡流バランスしていることが,確かめられた.
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[Publications] 酒井敏: "回転系の熱対流実験" ながれ. 14. 267-268 (1995)
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[Publications] Satohi Sakai: "The horizontal scale of rotating convection in the geostrophic regime" Journal of Fluid Dynamics. 333. 85-95 (1997)