1997 Fiscal Year Annual Research Report
磁気圏イオン密度・速度分布解析から算出される太陽共鳴散乱光の検出器系基礎技術開発
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07640585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩上 直幹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30143374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20227937)
林 幹治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60011730)
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Keywords | 極端紫外光 / 酸素イオン / 撮像 |
Research Abstract |
本年度は地球磁気圏尾部に存在する酸素イオンの撮像可能性について研究した。磁気圏尾部における酸素イオンの存在は数年前から知られていなかったが、磁気圏探査衛星ジオテイルがローブ領域において温度が極めて低く、かつ高密度の酸素イオンの存在を確認した。この酸素イオンはビームとなって地球から尾部方向に流出しており、その速度は地球から離れるに従って速くなる。この酸素イオンを撮像することが出来れば磁気圏尾部の全貌を捉えることが出来るため、磁気圏のダイナミクスを研究する上で大きな進歩となる。酸素イオンは太陽に対して相対運動をしているため、その共鳴散乱の波長がドップラーシフトを受ける。共鳴散乱線の幅は数十ミリÅであり、また太陽光中の対応する輝線の幅も同程度であるため、大きなドップラーシフトを受けると共鳴散乱の効率が極めて悪くなる。ヘリウムイオンなどの様に共鳴散乱線を一本しか持たないイオン種では太陽に対して50km/s以上の相対速度を持つと実質的に共鳴散乱を行うことが出来ない。しかし酸素イオンは834Åの近辺に3本の共鳴散乱線を持ちそれらが互いに極めて近い。また太陽光中の輝線も一価及び二価の酸素イオンに対応する輝線が9本あり、従って相対運動によるドップラーシフトを受けても再び別の輝線と共鳴散乱を行うことが出来る。この効果を取り入れ共鳴散乱の効率を表すgファクターを計算した。また、ジオテイルの観測結果から酸素イオンの速度、温度、及び密度をモデル化し、これらを基に磁気圏尾部から酸素イオンによって散乱される光の強度をシミュレートした。この結果、光の強速度は0.1-10Rayleigh程度あることが確かめられた。0.1Rayleighの光を1Re(地球半径)の空間分解能で撮像するためには2.5センチ口径の望遠鏡で約10分間の露出を行えば可能であり、この研究により磁気圏尾部の撮像が原理的に可能であることが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yamazaki, et al.: "Rocket-borne observation of galactic EUV emission with normal incidence telescopes,UV and X-ray Spectroscopy of Astrophysical and Laboratory Plasmas" Frontiers Science Series. 15. 323-326 (1995)
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[Publications] Kunieda et al.: "EUV Observation with Normal Incidence Multilayer Telescopes" Astrophysics in the Extreme Ultraviolet"(ed.by S.Bowyer and R.F.Malina). 21-26 (1996)
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[Publications] Yamazaki et al.: "Normal incidence multilayer telescope for galactic EUV observations" J.Elect,Spec.Rel.Phenom.80. 299-302 (1996)
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[Publications] Yoshikawa et al.: "Observation of He II emission from the plasmasphere by a newly developed EUV telescope onboard sounding rocket S-520-19" J.Geophys.Res.102. 19,897-19,902 (1997)
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[Publications] 吉川一朗 他: "S-520-19号機搭載Helium Emission Monitorによるプラズマ圏ヘリウムイオンの光学観測に関する研究" 宇宙科学研究所報告. 91. (1997)
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[Publications] Yoshikawa et al.: "Rocket-induced O II emissions observed by EUV telescope in the ionosphere" ISAS Res.Note. 633. (1997)
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[Publications] Takizawa et al.: "Application of DC magnetron sputtering system to optical elements in the extreme ultraviolet region" Rev.Comm.Res.Lab. 43(in press). (1997)