1995 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星データを利用したオゾン層破壊に関する微量成分の研究
Project/Area Number |
07640589
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
林田 佐智子 奈良女子大学, 理学部・情報科学科, 助教授 (70180982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 誠 奈良女子大学, 理学部・情報科学科, 助手 (90260653)
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Keywords | 成層圏オゾン / 成層圏微量成分 / SAGEII |
Research Abstract |
本研究は成層圏微量成分の人工衛星データを解析し、それぞれの地球規模での分布・動態を明らかにし、相互の関連を吟味することにより、成層圏オゾン破壊メカニズムの解明を目指すものである。本年度は、 1.研究に必要な計算機環境を整え、データ解析の基本的ソフトウエアーを整備した。それを活用してSAGEIIデータなどの解析を進めた。 2.SAGEIIのデータを中心に、オゾン・二酸化窒素・水蒸気・エアロゾルの高度分布のデータを整理し、1988年から1994年までの期間について季節毎の長期傾向を解析した。 (1)1991年に噴火したピナツボ火山によって1992-93年にエアロゾルが増加している。 (2)オゾンについては春と秋のデータについて調べたところ、緯度帯によって変化傾向は異なるが、1992-1993年に明らかにオゾン濃度に異常が見られた。特に熱帯上空の高度30-25kmでの1992年の値が異常に高く、逆に高度25-20kmでのオゾンは異常に低い。 (3)同様に二酸化窒素の高度20km付近のデータをみると、過去10年間は減少傾向にあるが、特に1993年に異常に低い値が観測されている。 3.数値モデル(一次元光化学反応拡散モデル)を用いてエアロゾルの表面で起こる不均一反応 N2O2+H2O→2HNO3 の影響を検討したところ、この反応は酸化酸化物を減少させるために、高高度では窒素酸化物によるオゾン破壊サイクルが弱くなりオゾン増加をもたらすのに対し、20km付近では逆に不均一反応によって増加するOHやCIOによる破壊サイクルが強く働くためオゾンが減少することが示され、上記観測結果と符合している。ただし、緯度帯によっては必ずしも対応は良くない。 今後他の季節についても解析を進め、オゾンの変動と二酸化窒素および水蒸気との関連について、理論予測と観測結果との対応をさらに検討して行く予定である。
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