1996 Fiscal Year Annual Research Report
人工衛星データを利用したオゾン層破壊に関する微量成分の研究
Project/Area Number |
07640589
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
林田 佐智子 奈良女子大学, 理学部・情報科学科, 助教授 (70180982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 誠 奈良女子大学, 理学部・情報科学科, 助手 (90260653)
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Keywords | 成層圏オゾン / 成層圏エアロゾル / 成層圏微量成分 / 人工衛星観測 / 中層大気 |
Research Abstract |
成層圏オゾン破壊メカニズムの解明を目指し、成層圏微量成分の人工衛星データを解析し、それぞれの地球規模での分布・動態および相互の関連を吟味した。 |1|SAGEII(Stratospheric Aerosol and Gas Experiment)データの解析 (1)SAGEIIの1.02μm、0.525μm、0.453μm、0.385μmのエアロゾル消散係数の波長依存性を解析した。消散係数sは静穏時にはほぼσ=βλ^<-α>(λは波長)の関係に従う。ところがピナツボ火山噴火後には著しいエアロゾル量の増加とともに波長依存性に変化がみられ、0.385μm以外の波長に極大値がみられた。甚だしい例では1.02μmに消散係数の最大値がみられた。これは非常に大きな粒子が存在したことを示唆するものである。また個々の観測事例をみると極大波長が2つあるものがあり、粒径分布がbi-,modalであった可能性がある。波長依存性の空間的・時間的変化を調べたところ、エアロゾル量の多いところで大粒径であることが示された。また、静穏時においても、高度・緯度で粒径分布が異なり、エアロゾル層下部では上部に比べ粒径が大きいことや、熱帯で高緯度より粒径が大きい傾向が示された。 (2):酸化窒素のデータを地方時刻の午前・午後に分けて解析し、その大小関係を検討した。その結果、高度・緯度によって大小関係が逆転すること、逆転高度がN205の高度分布と密接に関連していることが明らかになった。現在そのメカニズムについて詳細に検討中である。 |2|SAMIIの1.0μm消散係数の解析 SAMIIの1.0μm消散係数を1978-1992年まで解析し、時間変化と気温との対応を調べた。消散係数は冬季に低温になるにつれ増加し、春には一旦非常に小さくなり、再び増加する。春季の減少は高度20km以上では特に顕著で逆に10km付近では増加傾向になる。エアロゾル層上部から下部への重力沈降を反映していると考えられる。ピナツボ火山噴火後には中緯度と動揺消散係数が増加した。気温との関係を調べると、PSCと異なり気温に関係なく高い消散係数が表れている。 この他、昨年8月打ち上げの衛星みどりに搭載されているILASデータ解析を始めた。
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