1996 Fiscal Year Annual Research Report
未固結堆積物の変形過程におけるブリットル-ダクタイル遷移領域の実験的研究
Project/Area Number |
07640604
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宮田 雄一郎 山口大学, 理学部, 助教授 (60253134)
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Keywords | 未固結堆積物 / 塑性変形 / せん断破壊 / ダクティリティー / 歪み速度 |
Research Abstract |
未固結堆積物の変形様式にはブリットルな滑り破壊と、ダクタイルな流動変形がある.両者は一般に同時進行することが少なくない.H7年度には両者の関係を歪みの局所化という観点から領域区分すると同時に,それが材料と圧密履歴で異なることを示した.H8年度にはダイティリティーの支配要因として,歪み速度に着目した一連の実験を行った.載荷装置には低速定歪み速度の場合はモーターを使用し、高速の場合にはシリンダー(気体と液体両用)を用いて,0.02から300%/sの速度を得た上で,圧密・整形した直方体の粘土試料に平面歪み条件で載荷した. その結果,低塑性の1.5kgf/cm^2圧密粘土(中国産カオリン)では,歪み速度の変化に伴って顕著なダクティリティーの違いが現れた.即ち,低歪み速度のせん断では明瞭な応力ピークとその後の歪み軟化をもつブリットルな応力-歪み曲線を示した.供試体にはせん断歪みの小さな段階から共役割れ目状に歪みが局所化し,明瞭かつ少数の長いせん断面が軸歪み10%ほどで供試体を横切って形成された.これに対して,高速なせん断を行うと,応力-歪み曲線は30%を超える大きな軸歪みに至るまで歪み硬化を示し,剪断歪みが局所化することなく巨視的にはダクタイルな変形様式を示すようになった.しかし,微視的には変位の小さな多数のせん断面が広域に発生した.このような歪み速度の変化に伴うダクティリティーの変化は連続的で,他の高塑性の粘土でも同様の結果を得ることができた.しかし,歪み速度とダクティリティーの関係は固結した岩石の場合と逆の結果になり,それらを支配するメカニズムの解明が今後の課題となる.
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