Research Abstract |
1.本研究費により,微弱放射線計測容器を完成させることができた。既設の波高分析器,高圧電源,Ge検出器とあわせ,研究用原子炉で放射化した岩石・鉱物の熱中性子放射化分析試料につき精度の良い計測結果が得られた。測定精度については地質調査所の標準岩石標本のうち,JB1,JB2,JA2,JR1,JG1aの5試料について複数個の測定を行ない,平均値,標準偏差,相対誤差,推奨値との差(%)を求めた。計測時間を十分ながくとることで妨害核種の影響を除去することが可能となり,とくに長寿命核種の計測ではこの効果が大きくTb,Tmの測定が可能となった。推奨値との差はJB1では大部分の元素で4.0%以下で,Ta,Uで10%をこえる。またJR1ではBa,Co以外で元素で2%以下である。以上の結果,酸性火山岩について精度のよい極微量元素の分析が可能となった。 2.地質調査の結果,西瀬戸地域では高マグネシア安山岩で代表される瀬戸内火山活動を代表するマグマ系列と石鎚層群系列のカルクアルカリマグマの活動が混在し,さらに各種のデイサイトが小規模に活動している。これらの記載岩石学的解析は目下進行中である。 3.タイプを異にする岩石についてK-Ar年代を測定したところ,13〜15Maが得られ,田崎ほか(1993)と一致する。 4.予察的に測定された^<87>Sr/^<86>Srの値は0.7063〜0.7078で瀬戸内火山岩類の公表値より,かなり高く,石鎚層群のカルクアルカリマグマの影響を吟味する必要がある。これらの岩石は極微量元素においても,Nbに枯渇し,Cs,Rb,K,Thに富む島弧火山岩的な特徴を示しており,今後の検討課題である。
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