1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640609
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 隆介 中央大学, 理工学部, 教授 (60055168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松倉 公憲 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (80107341)
高橋 健一 中央大学, 文学部, 教授 (40129961)
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Keywords | 風化 / 風化帯 / 風化速度 / 強度低下 / 岩盤物性 / 泥岩 / 砂岩 |
Research Abstract |
今年度(平成8年度)は,昨年度の埼玉県秩父盆地荒川沿岸の河成侵食段丘に引き続き,千葉県房総半島南端部の海岸段丘を調査地域に選定し,ボーリングコア掘削・試掘・弾性波探査などを用いて,段丘面を形成する基盤岩石の風化帯の分帯と,それらの各分帯ごとの厚さの計測を実施し,段丘面の離水年代との関係から各風化帯ごとの風化速度を算出した.同時に,調査地域に分布する第三紀の砂岩と泥岩について,主にボーリング掘削によって採取した試料に基づいて,物理的(透水係数,間隙径分布,弾性波速度など),力学的(一軸圧縮強度,山中式貫入硬度,針貫入硬度,シュミットロックハンマー反発硬度など),化学的(蛍光X線分析),鉱物学的(X線回折,薄片観察,電子顕微鏡観察など)性質の地表面からの変化および時間的変化を計測した. 野外調査および室内実験によって得られた主な知見をまとめると次のようになる. (1)各風化帯の増厚速度を表す経験式が定式化され,各風化帯の厚さ(Z)と風化時間(t)との関係はZ=αt^βの関数で近似することができた.すなわち,風化帯の増厚速度は風化作用継続時間とともに遅くなり,微風化・弱風化・中風化そして強風化の順に風化程度が高くなるほど風化帯の増厚速度は遅くなる. (2)砂岩と泥岩における風化帯の増厚速度の比較では,風化開始直後では泥岩が大きいが,風化時間の進行とともに泥岩は砂岩に比べて大きく減速し,逆に砂岩が泥岩を追い抜いてしまうことが確認された. (3)岩盤上面からの任意の深度における強度の経時的変化を示す経験式が定式化された.すなわち,風化開始時点から各深度ごとのの強度低下開始時点までは風化速度はゼロであるが,各深度ごと強度低下開始時点を過ぎると強度は急激に低下し,その低下傾向は風化時間の経過と共に徐々に緩やかになることが確認された. (4)砂岩と泥岩における岩盤上面から任意の深度における強度の経時的変化の比較では,泥岩は表層付近では比較的早く強度低下が開始するのであるが,岩盤上面から深部になるにつれて砂岩の方が泥岩よりも早く強度低下が進行することが確認された.
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