1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640619
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
安藤 寿男 茨城大学, 理学部, 助教授 (50176020)
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Keywords | シーケンス層序学(sequence stratigraphy) / 白亜糸 / 蝦夷累層群 / 化石相 / 北海道 / 堆積相 / 二枚貝化石 / 浅海堆積物 |
Research Abstract |
蝦夷累層群の中でも相対海水準の変動記録をよく残している浅海堆積相を対象として,堆積相の4次元分布から堆積シーケンスを認定し,併せて化石相の変遷との関係を考察した.北海道の蝦夷累層群における代表的浅海相の三笠層と函淵層群のうち,穂別地域と中頓別地域の函淵層群を重点的に野外調査した.北海道南部穂別地域については,代表的好露出ルートでの堆積相層序とその分布から少なくとも7つ以上の類似する規模のシーケンスが認められた.したがって大夕張地域以北で顕著な2シーケンスとは異なることから,相対海水準変動の様式が堆積盆内の位置によって異なっていた可能性が指摘される.一方,北海道北部の中頓別地域では,沖合いの細粒岩相が卓越するため堆積相の変化量が少なく,同レベルでの比較は難しいが,少なくとも大きく2つの層準に厚い浅海成砂岩相が含まれており,2つもしくは3つのシーケンスが予想される.ただし,従来から白亜紀-第三紀境界層が露出すると考えられている日本の数少ない地域でもあり,本研究でも最上位シーケンスは古第三紀のものである可能性が高いことが確認された. これまでの成果を総合して,三笠層と函淵層群のシーケンス層序について,東北日本の後期白亜紀層との比較を行った(Ando,1997).断片的な地層分布にも関わらず,従来より汎世界的海水準変動曲線の標準的モデルとされたHaq曲線と位相,振動がかなりよく類似していることが判明した。一方,化石相の変遷については,三笠層のセノマニアン-チューロニアン(C-T)境界に二枚貝ファーナの組成に大きな変化があり,ごく一部を除いてほとんど属種が入れ替わることが確認できた.これは白亜紀中期に陸棚平底砂泥底群集に大きな進化したことを示唆している.つまり,白亜紀前期型から,新生代型に続く白亜紀後期型の出現である.しかし,函淵層群相当のカンパニアン〜マストリヒシアンには化石層が少なく,白亜紀後期〜末期の変遷の実施はまだ十分わかっていないが,少なくともC-Tほど大きな変化は認められない.
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