1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640625
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
八尾 昭 大阪市立大学, 理学部, 教授 (40047353)
|
Keywords | 下部-中部三畳系 / 放散虫化石群集 / 海域環境 / 珪質粘土岩 / 層状チャート |
Research Abstract |
本研究は西南日本のジュラ紀付加体を構成する下部-中部三畳系堆積物を主対象とし,それに含まれる放散虫化石群集を解析し,岩相・層相変化との関連を検討して,当時のパンサラッサの海域環境の変遷を復元することを目的としている.1995年度-1996年度を通して,美濃帯の下部-中部三畳系連続層序断面の詳細な野外調査を行い,岩相記載・岩石試料の採集・放散虫化石摘出処理・化石検鏡・及び一部の岩石薄片の作成と検鏡を行った.また,美濃帯のペルム紀新世およびジュラ紀古・中世放散虫化石群集,秩父帯ペルム紀群集,北海道の白亜紀群集等の比較検討も行った.その結果,以下の成果を得た. 検討層序断面において,下部三畳系上部統の放散虫化石を産出する層準は,大略的に灰色珪質粘土岩で代表され,黒色泥岩薄層とドロストーン団塊を含むという一般傾向を持つ.一部の層序断面では赤色泥岩(層厚数十cm)を伴う.放散虫化石群集の構成は,種数が少なく非常に多様性が低い.上位の中部三畳系の層準は,層状チャートで代表され,下位の珪質粘土岩から漸移する.一般的に赤色を呈するが,灰色・黒色を呈する層準を挟む.放散虫化石群集は,上位に向かって種数が増加し多様性が高くなる.一方,上部ペルム系層状チャートはある程度多様性の高い放散虫化石群集を含む. これらの結果から三畳紀古世当時,灰色珪質泥岩・黒色泥岩はパンサラッサ海の低緯度域に広範囲に広がった貧酸素海洋底で堆積したと想定される.しかし,一部に赤色泥岩が挟まれることから当時の堆積環境は多様であったと考えられる.また,下位の珪質粘土岩から上位の層状チャートへの岩相変化は,放散虫群集の多様化と密接に関係しているといえる.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] YAO A.: "Radiolarian occurrence data from the Middle Jurassic manganese carbonates of the Inuyama and Kimise Arens, Japan" Memoires de Geologie (Lausanne). 23. 967-976 (1995)
-
[Publications] BAUMGARTNER P. B.: "Middle Jurassic to Early Cretaceous radio larian biostratigraphy of Tethys based on Unitary Association" Memoires de Geologie (Lausanne). 23. 1013-1048 (1995)
-
[Publications] 梅田真樹: "兵庫県東部の下部白亜系篠山層群中のチャート礫から産出した中・古生代放散中化石" 地質学雑誌. 101. 937-939 (1995)
-
[Publications] 竹村静夫: "中・上部ペルム系舞鶴層群中の珪質岩礫から産するペルム紀中・新世放散虫化石" 地質学雑誌. 102. 820-823 (1996)
-
[Publications] 八尾昭: "ペルム紀新世から三畳紀古・中世にかけての放散虫群集の変遷" 大阪微化石研究会誌,特別号. 10. 87-96 (1997)
-
[Publications] 八尾昭: "ジュラ紀古・中世放散虫化石群集の変遷" 大阪微化石研究会誌,特別号. 10. 155-182 (1997)