1997 Fiscal Year Annual Research Report
日高変成帯における泥質および塩基性変成岩類の部分融解反応の解析
Project/Area Number |
07640631
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柴 正敏 弘前大学, 理工学部, 助教授 (80125442)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 直樹 弘前大学, 理工学部, 助手 (20208292)
大貫 仁 弘前大学, 理工学部, 教授 (00004317)
|
Keywords | 日高変成帯 / グラニュライト相 / 角閃岩ミグマタイト / N-MORB / リューコゾーム / メラノゾーム / メソゾーム / アイソコン法 |
Research Abstract |
平成9年度は,補足の地質調査,岩石採集,岩石薄片の作成,および岩石記載を行った.塩基性岩については,グラニュライト相中〜高温度部の角閃岩ミグマタイトに注目し,リューコゾームおよびメラノゾームを注意深く分離し,その主要および微量元素組成を蛍光X線分析法により決定した.その結果,以下のことが明らかとなった: (1)角閃岩ミグマタイトの原岩は,N-MORB組成の玄武岩と考えられ,LIL元素の正の異常から島弧的な化学的特徴を合わせ持つことが明らかになった. (2)部分融解メルトが固結したものと考えられるリューコゾームは,カルクアルカリ岩系列の分化経路にのる組成を持つことが明かとなった. (3)リューコゾーム,メラノゾームおよびメソゾームの化学組成から,アイソコン法を適用し,ネオゾームの組成を計算で求めた.ネオゾームおよびメソゾームの質量バランスの計算から,各元素とも1モル%以下の組成変化しか認められず,本研究のミグマタイトは閉じた系で部分融解したと考えられる.すなわち,生成したメルトの体積%が17〜30%ではメルトの移動は起こらなかったと結論できる.また,メルト生成による原岩に対する体積増加は,約2%である. (4)部分融解反応を特異値分解法を用いて推定した; E帯低温部では,0.77ホルンブレンド+10.00斜長石+0.01イルメナイト→0.04磁鉄鉱+10.98メルト, E帯高温部では,1.85ホルンブレンド+10.00斜長石+0.03イルメナイト+12.54石英→0.01磁鉄鉱+23.96メルト+単斜輝石.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 柴正敏・菅野孝明: "日高変成帯南東部,中の川層群の変成分帯" 弘前大学理科報告. 42巻・1号. 107-114 (1995)
-
[Publications] 佐伯圭石・柴 正敏, 板谷徹丸・大貫 仁: "北海道,日高帯南部における変成岩および深成岩のK-Ar年代とその意味" 日本岩石鉱物紘床学会誌. 90巻・9号. 297-309 (1995)
-
[Publications] 荒木強・柴 正敏: "日高変成帯南部,猿留一豊似剪断帯における変形運動" 弘前大学理科報告. 43巻・1号. 131-138 (1996)
-
[Publications] 柴正敏・田中嘉人・荒木強: "日高帯南部における日高主衝上断層の剪断運動" 弘前大学理科報告. 44巻・1号. 81-86 (1997)