1995 Fiscal Year Annual Research Report
火山成塊状硫化物鉱床のテクトニックセッティングに関する研究
Project/Area Number |
07640648
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鞠子 正 早稲田大学, 教育学部, 教授 (00063454)
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Keywords | 塊状硫化物鉱床 / 別子型鉱床 / テクトニックセッティング / 緑色片岩 / 三波川帯 / 微量成分 / 稀土類元素 / 背弧海盆 |
Research Abstract |
別子型塊状硫化物鉱床のテクトニックセッティングを明らかにする事を目的として、関東山地鬼石断層以西および佐久間ダム以南天竜川流域三波川帯の地質調査・試料採取を行い、緑色片岩および御荷鉾緑色岩を関東山地153試料、天竜川地域106試料についてXRFおよびICPによる主成分分析、希土類元素を含む微量成分分析を行った結果、次の事が判った。(1)関東山地西部のの三波川帯は主として泥質片岩と6層の緑色片岩および御荷鉾緑色岩からなるが、鉱化作用は微弱で、僅かに和銅年間と第二次世界対戦直後の採掘記録がある程度である。南部天竜川地域も同様に主として泥質片岩と緑色片岩からなるが、御荷鉾緑色岩を欠く。しかしこの地域にはかつて盛大に操業された久根・峯の沢両鉱床を産する。(2)いづれの地域の岩石も主成分的にはソレアイト、カルクアルカリおよびアルカリ岩系からなり大部分塩基性岩であるが、少量のピクライト質岩、極少量の中性〜酸性の岩石を含む。(3)微量成分分析からは、これらの岩石の大部分は背弧海盆的な性質を示すが一部に島弧火山岩の特徴を示すものがあり、島弧-背弧系の産物である事が判る。しかし前弧火山岩は認められない。(4)アルカリ岩系の岩石は関東山地に多く産し、地球化学的にP-MORBおよびT-MORBに類似する。これは一部でマントル深部からマグマが供給され背弧拡大軸から噴出した事を示唆する。(5)御荷鉾緑色岩と三波川緑色片岩には、基本的な差はないが、前者に島弧火山岩が多い傾向がある。(6)天竜川地域の緑色片岩は関東山地のものに比較してSiO2 50%以下のものが多く、軽希土類元素の乏しい典型的なN-MORBに類似した岩石を多く産する。
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