1996 Fiscal Year Annual Research Report
火山成塊状硫化物鉱床のテクトニックセッティングに関する研究
Project/Area Number |
07640648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鞠子 正 早稲田大学, 教育学部, 教授 (00063454)
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Keywords | 塊状硫化物鉱床 / テクトニックセッティング / 南部フォッサマグナ / 伊豆マリアナ島弧系 / 丹沢山地 / 御坂山地 / 巨摩山地 |
Research Abstract |
南部フォッサマグナは伊豆マリアナ島弧系が本州に激突したものであると言う説は現在ではほぼコンセンサスが得られている。南部フォッサマグナは巨摩山地、御坂山地、丹沢山地等からなるが、御坂山地にのみ火山成塊状硫化物鉱床の産出が知られている。地質時代の伊豆マリアナ島弧系とこれに伴う火山成塊状硫化物鉱床のテクトニックティングを明かにする事を目的とし、本年度は丹沢層群火山岩類の地球化学的研究を行った結果次の事が明らかになった。1)丹沢層群火山岩類は、全岩主成分組成・単斜輝石組成から、ソレアイト系列およびカルクアルカリ岩系列に属する。2)また、Ba+REEパターンの特徴から、Dタイプ(高Ba/Ce、低Ce/Yb)とEタイプ(低Ba/Ce、高Ce/Tb)の二つに分類できる。Dタイプ火山岩は典型的な島弧ソレアイトおよびその分化物であると考えられるに対し、Eタイプ火山岩は島弧ソレアイトとE-MORBあるいは背弧玄武岩の中間的な特徴を持っている。3)Eタイプ火山岩は島弧マグマ中に背弧拡大をもたらすようなE-MORB的マグマが混入した事により生成したマグマを起源とすると考えられる。4)層準別に各タイプの火山岩の産出状況を考えると、丹沢層群の火山活動は五つのステージに区分できる。ステージ1,3,5はDタイプ火山岩の活動の優勢期であり、ステージ2,4はEタイプ火山岩の優勢期である。Dタイプ活動期からEタイプ活動期への移行は、島弧マグマ中へのE-MORBソースマントルダイアピルの上昇によると考えられる。一方、Eタイプ活動期からDタイプ活動期への移行は、背弧拡大二よって島弧マグマとE-MORBマグマが完全に隔離したために起ったと考えられる。5)南部フォッサマグナ他地域(御坂山地、巨摩山地)と共に、現世の伊豆弧と比較すると、丹沢山地は火山フロントに相当する七島海嶺に、御坂山地は背弧凹地に相当するスミス凹地または八丈海盆に、巨摩山地は旧火山フロントに相当する西七島海嶺に、それぞれ対応する可能性がある。
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