1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640649
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂本 尚史 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60098580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祥一 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 助教授 (20109739)
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Keywords | 粘土鉱物 / 水熱合成 / タルク / 磨砕 / スメクタイト / カオリナイト / セピオライト |
Research Abstract |
天然産良結晶度のタルクを磨砕することにより作製した磨砕タルクを出発物質に用い、水熱処理により各種の粘土鉱物の合成を試みた。今年度の研究で得られた結果は次の通りである。 1.磨砕タルクの作製と評価:天然産タルクを振動ミルで磨砕することにより磨砕タルクを作製した。この磨砕トルクは、X線回折や熱分析においてはほぼ非晶質と考えられるが、IRやNMRのデータからはタルクの局所構造を若干は残しているものと考えられた。 2.この磨砕タルクからセピオライトの合成を目指して各種のNa塩溶液で水熱処理を行った。その結果、いずれの場合においてもセピオライトの生成は認められず、低結晶質タルク、スメクタイトなどの3-八面体型層状珪酸塩鉱物のみが生成した。今後は、処理溶液の種類、種結晶の添加などの工夫を加える必要があるものと考えられる。 3.磨砕タルクのAlCl_3水溶液による水処理を行った。その結果、処理溶液の濃度が増すとともに、3-八面体型スメクタイト、2-八面体型スメクタイト、カオリナイトが生成することが明らかとなった。しかし、高濃度では不純物としてAl_<24>O_<11>(OH)_<44>Cl_6が生成し、単一相のカオリナイトの合成には、皿の工夫が必要なものと考えられた。 4.いずれの場合も、未磨砕のタルクを出発物質にした場合は、ほとんど反応が進行しなかった。 以上のように、タルクは磨砕により水熱条件下での反応性が増すこと、各種の粘土鉱物が容易に生成すること、が明らかとなった。しかし、当初に合成を目指したセピオライトの生成は確認されず、カオリナイトも単一相としては得られず、次年度にさらに検討を続けていく必要があるものと考えられる。
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