1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640649
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂本 尚史 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60098580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 祥一 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 助教授 (20109739)
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Keywords | 粘土鉱物 / 水熱合成 / タルク / 磨砕 / スメクタイト / カオリナイト / セピオライト |
Research Abstract |
磨砕により反応性を飛躍的に増加させた磨砕タルクを出発物質として水熱処理を行ない、各種の粘土鉱物を合成する研究を行った。昨年度は、タルク磨砕することにより局所的にタルクの層状構造を残していると考えられる非晶質物質に変化すること。この磨砕タルクを各種ナトリウム塩溶液および蒸留水により200〜250℃で7日間程度の水熱処理を行うことにより、tri-型スメクタイトあるいは低結晶質タルクが生成することを確認した。 今年度は、各種アルミニウム塩(塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、およびアルミン酸ナトリウム)溶液で200〜250℃で3〜7日間程度の水熱処理を行った。その結果、生成物は処理溶液中のAlと出発物質中のSiとのモル比(Al/Si比と記す)、および反応時のpHにより異なることが判った。反応が酸性条件下で進行する場合には、Al/Si比が低い時にはtri-型スメクタイトが、中程度の時にはdi-型スメクタイトが、高いときにはカオリナイトが生成した。さらに高濃度では、Al_<24>O_<11>(OH)_<44>Cl_6、ベ-マイト、あるいは明礬石のようなアルミニウムを多量に含む不純物が生成した。反応がアルカリ性下で進行する場合には、 Al/Si比が低い時にはtri-型スメクタイト、高いときには蛇紋石ような、ほとんどアルミニウムを含まない粘土鉱物のみが得られ、アルミニウムを含む沸石類の副生成物が認められた。 以上のように、タルクは磨砕することにより活性化し、粘土鉱物合成の出発物質として利用可能であることが明らかとなった。得られた粘土鉱物は、 tri-型およびdi-型スメクタイト、カオリナイト、ならびに蛇紋石であった。当初に期待したセピオライトは今回の実験条件下では生成しなかった。今後、処理溶液の種類、処理条件等を工夫することにより、さらに多くの粘土鉱物の生成が期待できるものと考えられる。
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