1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640696
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Research Institution | Toyota Physical & Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
加藤 修司 財団法人豊田理化学研究所, 奨励研究員 (00270554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷野 猪之助 姫路工業大学, 理学部, 教授 (80016089)
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Keywords | 分子多価イオン / 低速イオンビーム / イオン-分子反応 / 化学反応ダイナミクス / クラスターイオン / レーザー光解離 / 銅蒸気レーザー |
Research Abstract |
本研究を遂行する上での最大のポイントである大強度イオン源と減速レンズ系の開発を中心に行った。とりわけイオン源の開発には多くの時間と研究費を費やした。電子衝撃によるイオン化を採用し、多価イオンの有力な生成方式の一つであるデュオプラズマトロン型イオン源の動作機構と組みあわせることにより、窒素分子イオンなどの一価イオンについて理論的な上限(空間電荷制限)に近い高密度のイオン生成を達成した。イオン源の冷却機構も新たに開発してデュオプラズマトロン方式の不均一磁場収束法と組み合わせ、大強度の分子クラスターイオン生成も可能にした。減速レンズ系はグスタフソン・リンドホルム型を採用し、高いイオン密度を保ったままで約1eVの低速にまでイオンビームを減速することを可能にした。イオン信号の自動取り込み・解析を行うためのコンピュータプログラムを自作し、あるいは市販品として購入し、信号測定系・処理系の整備を行った。以上により、高密度の低速分子多価イオンを生成・検出するための実験的準備がほぼ完了した。なお、このようにして立ち上げたイオンビーム装置のデモンストレーションとして、高効率の銅蒸気レーザーによる分子クラスターイオンの光解離実験を行い、学会および誌上で発表した。以上の他に、分子多価イオンおよびその化学反応生成物をより高いスループットと必要十分な質量分解能で検出するために、パルス電場引き出し方式の飛行時間型質量分析計(TOFMS)の設計も行い、それに要求される時間応答性をもった高電圧パルスジェネレータをを選定・購入した。今後、実際にTOFMS装置の製作を行って分子多価イオンを用いた実験を開始するとともに、別途、購入した光電子増倍管を用いて、イオン信号のみなず、発光観測からのイオン-分子衝突ダイナミクスへのアプローチも試みる予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K. INAOKA, S. KATO etal: "Low-Energy, High-Intensity Ion Beam Apparatus for the Study of Intermediate States of Ion-Molecule Collisions" Reports of Toyota Physical and Chemical Research Institute. 49. (1996)