1995 Fiscal Year Annual Research Report
高配位ケイ素を用いたグループトランスファー重合系の開発
Project/Area Number |
07640703
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 健吉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50187035)
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Keywords | グループトランスファー重合 / ケテンシリルアセタール / リビング重合 / ポリメタクリル酸メチル / テトラフルオロシリカート / 高配位ケイ素 / タクティシティー制御 |
Research Abstract |
本研究ではグループトランスファー重合(GTP)の開始剤であるケテンシリルアセタールのシリル基を種々に変化させ、その反応性の制御を目的に研究を行った。 (1)ケテンシリルアセタールのケイ素上の立体障害を一般的なトリメチルシリル基から、ブチルジメチルシリル基、さらにトリエチルシリル基へと増加させ、その反応性の変化を研究した。トリメチルシリル誘導体を開始剤とした場合、室温1日程度で重合反応が完結する。これに対し、ブチルジメチルシリル誘導体やトリメチルシリル誘導体の場合には、反応の完結までに数日以上の反応時間を要し、明らかに反応性の抑制が見られた。 近年進展の著しいリビングラジカル重合やリビングカチオン重合の場合でも、如何にして重合活性点の高すぎる反応性を制御(抑制)するかが重要な鍵になっており、開始剤・添加剤の開発を含めた重合システムの研究が活発に行われている。本研究において、単純にケイ素上のアルキル置換基を変化させるだけで、非常に容易にGTPの反応性を制御しうることが分かったのは興味深い。 (2)テトラフルオロシリカート基を持つケテンシリルアセタールを開始剤とするメタクリル酸メチル(MMA)のGTPについて検討した。開始剤の単離が非常に困難で、現在のところ分子量の制御には成功していないが、高分子量のポリマーが少量ながら得られた。 このポリマーのタクティシティをNMRで検討したところ、通常のトリメチルシリル誘導体を用いた場合に比べ、シンジオタクティック構造の割合の増加が見られた。更に検討が必要であるが、トリメチルシリル基よりもルイス酸性の高いシリケート基を使ったことにより反応機構が変化し、環状遷移状態を経由した協奏的反応になっている可能性がある。
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[Publications] T. Sanji, K. Sakamoto, and H. Sakurai: "Thermochromic behavior of polysilanes in dependence on sequence length" Bull. Chem. Soc. Jpn.68. 1052-1055 (1995)
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[Publications] T. Sanji, K. Sakamoto, and H. Sakurai: "Dynamics of polysilane chain in dilute solution as studied by spin labeling" Chem. Lett.291-292 (1995)
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[Publications] T. Sanji, K. Sakamoto, H. Sakurai, A. Nakazazto, and K. Ono: "Formation of ordered phase on thermochromic transition of polysilanes" Macromolecules. 28(印刷中). (1996)
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[Publications] H. Sakurai, M. Yoshida, and K. Sakamoto: "Polymerization of in situ generated disilenes" J. Organomet. Chem.(印刷中). (1996)