1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルキンと遷移金属化合物の錯体形成を利用する新規合成反応の開発
Project/Area Number |
07640712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40168563)
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Keywords | アルキン-コバルト錯体 / 分子内デイールス-アルダー反応 / フラン |
Research Abstract |
アルキンはCo_2(CO)_8と錯形成すると、直線構造からアルケンに近い構造に変化することが知られている。我々はこの錯形成によるアルキンの構造変化を反応のスイツチに利用できるのではないかと考え、反応として分子内DieIs-AIder反応を選び、錯形成により遠隔位の反応点が接近し反応が進行する可能性について検討を行つた。 基質としては両端にジエン部分としてフランを、ジエノフイル部分としてα、β-不飽和エステル部位を有するアセチレン化合物を合成し、これとCo_2(CO)_8との錯形成とこれに引き続く分子内DieIs‐AIder反応について検討を行つた。まず上記ジエンおよびジエノフイル部位を持つアセチレン化合物にCo_2(CO)_8を作用させアルキン-Co_2(CO)_6錯体を生成し、引き続いて加熱を行つたがDirIs-AIder反応は進行しなかつた。しかしこの錯体をシリカゲルカラムに担持させたところDieIs-AIder付加体が生成し、シリカゲル上で3:1という比で原料の錯体と平衡にあり、すばやく分取することによりDieIs-AIder付加体の錯体を単離することができた。また単離した付加体の錯体は室温で放置すると容易に逆反応が進行し、原料の錯体との平衡混合物を与えた。(原料の錯体:付加体の錯体=8:1)以上のように上記アセチレン化合物は、そのままでは反応を起こさないが、Co_2(CO)_8と錯形成することにより、分子内DieIs-AIder反応を行わせることができることを見出した。
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