1995 Fiscal Year Annual Research Report
触媒機能を持つ大環状化合物の合成とその分子認識能に関する研究
Project/Area Number |
07640722
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笛吹 修治 広島大学, 理学部, 助教授 (20160252)
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Keywords | 大環状化合物 / 触媒 / 分子認識 / 金属錯体 / 酸化 |
Research Abstract |
分子認識機能と触媒機能とを合わせもつ機能性分子として、カリクサレンの一つのフェノール環をシッフ塩基で置き換えた大環状化合物を合成し、これを用いてフェノールの水酸基とシッフ塩基部に導入した金属部分の二点によるジアミン類の取り込み、さらには水素結合部位をもつアルケン類の鎖の長さの違いによる基質選択的エポキシ化反応について検討を行った。 まず、この化合物の構造を温度可変NMRスペクトルにより調べたところ、室温においてはフェノール環の反転にもとづく速い配座変換をしていることがわかった。次にゲスト分子との会合を調べるため、モノアミンおよびジアミン類との間でNMR滴定を行った。その結果、モノアミンでは、ホスト;ゲスト比が1:2、またジアミンの場合は1:1の会合体を形成しており、会合定数はモノアミンのK1、K2のほうがジアミンのKより大きいことがわかった。また、ジアミンにおいては、アミン間の距離が大きいものが合成定数が大きかったことから、この会合体においては、フェノールと金属部位が離れた配座をとっていることが推定された。 フェノール部分にアミンが水素結合で会合することがわかったので、次に水素結合部位をもつオレフィン類としてω-ピリジルアルケンを用い、鎖の長さの違いによるエポキシ化の反応速度の差を調べた。共酸化剤として過ヨウ素酸テトラブチルアンモニウムを用いて触媒的に酸化反応を行ったところ、2-ピリジルメチルエーテル体において、メチレンの長さが6〜7個の時に反応速度が大きくなることが分かった。この結果より、オレフィンのピリジル部位がフェノールと水素結合し、分子内で触媒的エポキシ化がおこることが明らかとなった。さらに、触媒活性種の構造も先にジアミンとの会合体で推定された構造に近いことがわかった。
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