1995 Fiscal Year Annual Research Report
エンイン共役オリゴマーを機軸とする機能性材料の創製
Project/Area Number |
07640723
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安蘇 芳雄 広島大学, 工学部, 助教授 (60151065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧宮 和男 広島大学, 工学部, 助手 (40263735)
大坪 徹夫 広島大学, 工学部, 教授 (80029884)
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Keywords | エンイン共役オリゴマー / 機能性材料 / シクロペンテニレンエチニレン / チエニレンエチニレン / パイ電子共役 / ら旋構造 |
Research Abstract |
1.当初の計画どおり,パラジウム触媒によるカップリング反応によって鎖長を延ばし,逐次合成により完全に単分散性で構造に任意性のない1,2-シクロペンテニレンエチニレン系および3,4-チエニレンエチニレン系のシス型エンインオリゴマーの系統的合成に成功した。この反応は,温和な条件で進行し収率も良好であることから,このようなオリゴマー合成に適したものであることを明らかにすることができた。 2.分光学的測定や各種構造解析法によって置換基と構造との相関が得られ,シクロペンテニレン系は鎖長の伸長に伴ってパイ共役系が拡張されていることが分かった。一方,チエニレン系はパイ電子共役系がほとんど拡張されず,自発的にら旋構造をとる傾向の強い,きわめて特殊な興味深い系であることが明らかとなった。 3.これらのオリゴマーは可視領域に強い蛍光発光を示し,EL材料としても有望である。 4.固体状態の熱反応ではアセチレン結合の関与する反応の生起が見られたが,溶液状態ではかなり安定で,熱的多重Bergman反応は起こりにくいことが分かった。従って,ラダーオリゴマーの合成にはイオン反応やラジカル反応を検討する必要がある。 5.これらのオリゴマーは,鎖長の伸長に伴い溶解性が低下し,特にチエニレン系においてこの傾向が顕著で,オクタマ-の合成には成功したものの,完全な同定にはいたらなかった。このような溶解性の乏しさは,機能性評価に支障を来しており,基本的構造を乱すことなく可溶化をはかる必要がある。その方法として,内部鎖の共役構造やら旋構造に影響の少ない,末端に置換基を導入して可溶化をはかる分子設計を行っている。
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