1996 Fiscal Year Annual Research Report
新規な1,1-ジチオレートを配位子とするオキソモリブデン錯体の合成と反応性
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07640734
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鵜浦 啓 山形大学, 理学部, 助教授 (20151920)
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Keywords | オキソモリブデン錯体 / 1,1-ジチオレート / 電気化学 / 酸素原子移動反応 / 速度論 / オキソバナジウム錯体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1,1-ジチオレート配位子がオキソモリブデン錯体の酸化還元反応性に及ぼす影響について系統的に検討することである。得られた成果を以下にまとめた。 1)[MoO_2(RR'dtc)_2]のジチオカルバミン酸イオン上の置換基Rをいろいろと変えた錯体19種を合成し、得られた錯体とPPh_3との間の酸素原子移動反応の速度定数(k_1)を系統的に調べた。その結果、k_1は置換基によって大きく変化し(50倍の範囲)[MoO_2(RR'dtc)_2]の第1還元電位とlog(k_1)とは比例関係にあることがわかった。ただし、ジチオカルバミン酸イオン上の2つ置換基ともにフェニル基やベンジル基である場合には、相関からはずれる。これは錯体のオキソ配位子の強いトランス影響によると考えられた。 2)分子内に2つの1,1-ジチオレート部をもつ新規なポリジチオカルバミン酸イオンを配位子とするcis-ジオキソモリブデン錯体の合成に成功した。この錯体とPPh_3との酸素原子移動反応を調べたところ1)で述べた錯体の酸素原子移動反応とは異なった反応をすることがわかった。これは、本研究で合成した新規なジチオカルバミン酸イオンの立体的な要因によるものと考えられた。 3)ジチオカルバミン酸イオンを配位子とするオキソモリブデン(IV)錯体を本研究で申請した合成装置によって合成することができた。この錯体の還元電位はジチオカルバミン酸イオン上の置換基の影響を受けるが、酸化電位は影響を受けない。一方、還元電位は溶媒による影響は受けないが、酸化電位は影響を受けることがわかった。 4)ジチオカルバミン酸イオンを配位子とするオキソバナジウム(IV)錯体も本研究で申請した合成装置によって合成することができた。還元電位は置換基の影響を受ける。影響の受け方をcis-ジオキソモリブデン(VI)錯体と比較したところcis-ジオキソモリブデン(VI)錯体の方が配位しているチオレートとのπ的な相互作用が重要であることがわかった。 以上の成果については1)は学術雑誌に投稿中であり、その他については投稿の準備を進めている。
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