1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640739
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
鷹野 景子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (00143701)
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Keywords | ポリハロゲン / 構造異性体 / 非経験的分子軌道法 / 基底関数依存性 / 電子数解析 / 球平均差電子密度 / 酸化状態 |
Research Abstract |
ポリハロゲン化合物は、類似の原子種から成り立ちながら、結合の原子価、原子の酸化状態、結合様式、幾何学的構造、反応性などの点で、非常に多様性に富む化学種であるが、この興味深い化学種に対する理解は、現在のところ充分とは言えない。 本年度は、三ハロゲン化物イオン及び三ハロゲン陽イオン:I_3^-,Br_3^-,Cl_3^-,ICl_2^-,IBr_2^-,IBrCl^-,I_3^+,Br_3^+,Cl_3^+,ICl_2^+,IBr_2^+,IBrCl^+などを対象とした。 構造最適化計算および、電荷分布の計算を行った結果、基底関数依存性が大きいことがわかった。幾何学的構造には分極関数(polarization functions)の影響が大きく、実験値を再現するためには、分極関数を含めることが必要であった。陰イオンの電荷を求める際には、分極関数に比べて、広がりの大きな関数(diffuse functions)の影響が非常に大きいことがわかった。後者は、幾何学的構造にはほとんど影響しなかった。有効内殻ポテンシャルが、この系に対しても精度および計算時間の両面で有効であることを確認した。特に幾何学的構造については、実験値を非常によく再現した。 ヘテロな系の異性体において実験的に見い出されている通り、中央に重い原子がくるものが最も安定であることがわかった。ハートリーフォック法レベルでの異性体間の相対的エネルギー差は10〜30kcal/mol程度であった。 得られた分子軌道を用いて、電子数解析を行った。その際、球平均差電子密度の基準となる原子の密度行列を求める必要がある。ハロゲン原子についての密度行列を非制限ハートリーフォック法を用いて、今回新たに求めた。各化学種内の原子のまわりと結合のまわりを中心とする球平均差電子密度を計算し、各原子の酸化状態の相対的な違いについての知見を得た。
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