1995 Fiscal Year Annual Research Report
多元素同時追跡法によるセレンと金属元素の生物無機化学の展開
Project/Area Number |
07640742
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
天野 良平 金沢大学, 医学部, 助教授 (30111769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 秀一 理化学研究所, 核化学研究室, 基礎科学特別研究員 (10271553)
大石 茂雄 金沢大学, 医学部, 助手 (30272983)
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Keywords | ラジオアイソトープ / マルチトレーサ法 / セレン / 生体微量元素 / バナジウム / 骨集積 |
Research Abstract |
本年度、標記課題の研究は大きく進展した。 特に本研究のラジオアイソトープ・マルチトレーサ法による、セレンの生体内分布は「生体微量元素」のテーマに新しい知見を提供した。本研究の成果は、国際学会、国内学会、雑誌等において20件の発表を行い、内外で評価された。以下にその概要を箇条書きにする。 (1)ラジオアイソトープ・マルチトレーサ法を「生体微量元素の生理作用の研究」に適用する利点を整理・統合した。同一試料における同時性がこれまで動物実験等で問題になっていた試料差・個体差を克服した。 (2)調整したマルチトレーサ溶液はセレンと他15元素の放射性同位体を含み、本研究ではこれを使い、セレンと他の元素(特に第一遷移金属元素間)に繰り広げられている生体内反応を追跡した。カドミウム負荷によりセレンの腎臓集積性が急増し、セレンの解毒作用についての知見の一つとして注目できる。 (3)本法の同時追跡性を利用することにより、セレンディピティが期待できる。その一つとしてバナジウムの骨集積性が新しく発見された。これはバナジウムという元素が骨コラーゲンの生成に関わっている可能性を示唆するもので生化学上重要な知見である。 (4)酸素は生命にとって必須のもの。しかし今日老化の問題を考えるとき、この酸素の生体での働きを、「活性酸素の生成」という目で追求する必要がある。この重要な問題に本研究の追求する方法が、極めて有効であることを示した。15EA07:今後は、本課題のもう一つの方法である中性子放射化分析法を検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ryohei AMANO他: "Tissue Distribution of 16 Elements in Mice: An application of Multitracer to Animal Experiments" RIKEN Accelerator Progress Report. 28. 90- (1995)
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[Publications] Reiko Hirumura他(Ryohei AMANO含む): "Multitracer studies of behavior of trace elements in rats and mice" Journal of Inorganic Biochemistry. 59. 354- (1995)
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[Publications] Shuichi Enomoto他(Ryohei AMANO含む)20GB03:In vivo behavior of various rare-earth elements in lipogenous diabetes model mice by using the multitracer technique: Journal of Inorganic Biochemistry. 59. 353- (1995)
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[Publications] Ryohei AMANO他: "Bone Uptake of vanadium in mice: Simultaneous tracing of V, Se, StY, Zr, Ru and Rh using a radioactive multitracer" Journal of Trace Elements in Medicine and Biology. 10(印刷中). (1996)