1995 Fiscal Year Annual Research Report
電極活性種で標識したリガンドを用いるタンパク-リガンド相互作用の電気化学検出
| Project/Area Number |
07640795
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
| Research Institution | Hokkaido University |
|---|
Principal Investigator |
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30142194)
|
|---|
| Keywords | タンパク-リガンド / アビジン / ビオチン / ドウノマイシン / 電気化学的アッセイ / ナイルブルー / フェロセン / エンザイムアッセイ |
|---|
| Research Abstract |
タンパク-リガンド相互作用の電気科学的検出について、平成7年度は主に卵白中のタンパクであるアビジンとそれに強く結合するビオチンを用いて基礎的検討を行い、以下に示すような成果を得た。
(1)電極活性基としてキノン骨格を有するドウノマイシン、色素の一つであるナイルブルー、そしてフェロセンの3つを用いてビオチンをラベル化し、新たなリガンドを得ることができた。また、ドウノマイシンについてはビオチンとの間のスペ-サの長さの異なるものも調製できた。
(2)これらのラベル化ビオチンの電極活性基はいずれもアビジンと結合することにより、電極応答を著しく減少させた。電極活性種だけではこのようなアビジンの添加による電極応答の変化は見られないことから、この現象はアビジン-ビオチン間の特異的な結合に基づくものであることが確認できた。
(3)これらのリガンドとアビジンとの結合の強さを、マイクロタイタ-プレートを用いるエンザイムアッセイ法によって確認したところ、ラベル化による結合定数の大きな変化は見られず、これらのリガンドがアビジンとの強い結合性を保ったままであることが判明した。また、スペーサーの長さは、電極応答と結合の強さに若干の影響を与えることが判明した。
(4)ドウノマイシンやナイルブルーのような色素でラベル化したときには、そのリガンドは色素の持つ電極への吸着性によって電極に濃縮でき、かなり高感度なアッセイ法となりうることが判明した。しかし、フェロセンでラベル化したリガンドでは通常の電極への濃縮効果は見られなかった。そこでナフィオン修飾電極を用い、フェロセンリガンドを一定電位での酸化によって陽イオン化学種とし、ナフィオンの負電荷との間の静電引力で濃縮することを試みたところ、フェロセンリガンドも濃縮され、高感度に検出できることが判明した。
(5)上の例は何れも電極活性なリガンドがアビジンとの結合によってその電極活性を失うことによるものであった。これとは異なる機構に基づくものとして、タンパクとリガンドの結合が反応を制御する方法を開発した。即ち、ビオチン化ヨウドアセチルとチオール基を有する化合物の反応がアビジンとの結合によって抑制されることを利用するものである。反応によって生成したヨウ化物イオンを電気化学的に検出することによって、新しいタイプの電気化学的アッセイ法を開発することができた。
|
-
[Publications] K.Sugawara,: "Electrochemical assay of avidin and biotin using a biotin derivative labeled with an electroactive compound," Anal.Chem.67. 299-302 (1995)
-
[Publications] K.Sugawara,: "Electrochemical behavior of sugar by using a carbon paste electrode modified with copper(II)-porphyrin," J.Electroanal.Chem.,. 394. 263-265 (1995)
-
[Publications] S.Tanaka,: "Migration behavior of niacin derivatives in capillary electrophoresis," J.Chromatogr.,. 718. 233-237 (1995)
-
[Publications] M.Fukusima,: "Chromium(III)binding abilities of humic acids," Anal.Chim.Acta,. 317. 195-206 (1995)
-
[Publications] K.Sugawara,: "Electrochemical evaluation of avidin-biotin interaction using N-iodoacetyl-N-biotinylhexylenediamine," Bioelectrochemistry and Bioenergetics,. (in press.). (1996)
-
[Publications] K.Sugawara,: "Accumulation voltammetry of avidin and biotin using a biotin labeled with Nile Blue A." Bioelectrochemistry and Bioenergetics,. (in press.). (1996)
