1996 Fiscal Year Annual Research Report
キイロショウジョウバエにおける性行動に関与する遺伝子の解析
Project/Area Number |
07640822
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
仁田坂 英二 九州大学, 理学部, 助手 (60222189)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / 配偶行動 / 生殖的隔離 / P因子 / オナジショウジョウバエ / 種分化 |
Research Abstract |
最近、種分化のきっかけとなるような性的隔離は雌によって支配されているという証拠がアフリカのキイロショウジョウバエ集団において得られた。これはアフリカ集団の雌は同一集団の雄は受け入れるが、他集団の雄を受け入れなくなっておりこのような隔離がある集団が他種へと分化していくきっかけとなる。 本年度は前年にひきつづき配偶行動遺伝子の分子レベルでの解析に加え、上述の事実を踏まえて、配偶行動突然変異のスクリーニングを行った。具体的にはP因子で突然変異を起こしたキイロショウジョウバエの雌にオナジショウジョウバエの雄を交配し、交尾率が高くなった、つまり雌が他種を拒絶しなくなったような突然変異系統を選抜した。もとの系統はこのスクリーニングに用いたオナジショウジョウバエの雄とはほとんど交尾しない。約2500系統から37系統に雑種が生まれ、それらについて数度同じ実験をくりかえした。その結果この高い交尾率という表現型の再現性は非常に高いことが明らかになった。これらの系統について現在P因子の挿入部位を解析しておりこの中には、例えば雌における雄の拒絶行動に関係することがわかっている性ペプチドに変異があるものもあるかもしれない。 またキイロショウジョウバエと交尾率の高い別系統のオナジショウジョウバエの雄と交配して、本来この交配では出現しない雄が出てくるような系統のスクリーニングも約3000系統について同時に行った。その結果191(6.4%)の系統で少なくとも一匹の雄が出現したがほとんどが雌でのX染色体不分離によるものであった。また3系統については不分離に由来するものではなかった。しかし、これらの系統について再度同様のテストを繰り返したが再現性はほとんど認められず、救済された雄の数は生殖細胞で不分離が起こった時期に依存していると考えられた。
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[Publications] Nitasaka,E: "Current Topics on Molecular Evolution:Isolation of mating behavior mutations in Drosophila melanogaster" Nei,M.and Takahata,N., 260 (1996)