1995 Fiscal Year Annual Research Report
植物の生活環制御と集団分化機構に関する発育生理および遺伝的解析
Project/Area Number |
07640830
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石栗 義雄 東北大学, 遺伝生態研究センター, 助手 (90006015)
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Keywords | 生活環制御 / タネツケバナ / 花芽形式 / 発芽様式 / 緯度別集団 |
Research Abstract |
一年生草木の生活環は発芽と発育相が栄養成長から生殖成長に転換する花芽分化の二つの過程によって制御されている。同一種であってもこれらの過程の環境条件による制御の違いから多様な特徴を持つ集団が分化する。 生育地が異なるタネツケバネ(Cardamine flexuosa)の6集団(北緯25°から40°)を用いて花芽形成における日長反応およびバーナリゼーション効果を検討した。高緯度の集団ほど長日およびバーナリゼーション要求性が高く生殖成長相への転換が特定環境に強く支配されているが、北緯35°より低緯度の集団は日長反応性、バーナリゼーション効果の何れも非常に弱く生殖成長への転換がサイズ依存である。種子休眠の推移を検討するために高緯度集団(北緯40°)、中緯度(北緯35°)および低緯度(北緯25°)の3集団の種子を室温乾燥条件で貯蔵し採取時から一年間にわたって発芽様式を経時的に調査した。その結果、高緯度集団は20/10℃および30/20℃のいずれの温度範囲でも高い発芽を示したが、低緯度集団は20/10℃の変温条件で高い発芽を示したのに対し、30/20℃で数%の発芽しか示さず種子が強い休眠状態であることを示した。中緯度集団では20/10℃の変温条件に対して種子採取時では強い休眠を示したが、貯蔵時間の増加に伴って休眠性が低下し9ケ月五にはどの温度条件でも高い発芽を示すようになり、高緯度と低緯度集団の中間の発芽様式を示した。
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