1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640832
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
山村 靖夫 茨城大学, 理学部, 助教授 (50202388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 良通 茨城大学, 理学部, 助教授 (30125801)
塩見 正衛 茨城大学, 理学部, 教授 (80250976)
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Keywords | 光合成 / 物質生産過程 / 実生更新 / 比較生態学 / ブナ / イヌブナ |
Research Abstract |
ブナとイヌブナの実生更新様式を比較するために,光条件を変えた圃場実験と野外での個体群追跡調査を行った。初年度(平成7年度)の研究計画はほぼ実行され,前年に行った予備研究とあわせて次のような新知見が得られた。(1)生理的特性と成長においてブナはイヌブナに比べ光条件に対してより大きな可塑性を持つこと明らかになった。このことは野外でのブナのより高い生残率を説明するものである。(2)物質生産過程の解析より,当年生実生ではイヌブナではブナに比べ物質生産における子葉の役割が大きいことが明らかになった。これはイヌブナがより高い位置により大きな子葉をより長い期間つけることによるものである。このことの適応的意義について現在検討中である。これらの成果については学会(日本生態学会;平成7年8月)で公表し,投稿論文を準備している。(3)平成7年は日本海側の広い範囲でブナの結実の豊作年となり,太平洋側ではイヌブナだけに結実が見られた。そこで両種の混在する本研究の調査地周辺での過去の結実パターンを明らかにするために稚樹の齢構成についての詳しい調査を開始し,ブナの豊作年は日本海側と異なっており,イヌブナとは同調していないことが示された。さらに詳しい調査を8年度の本研究の項目に加えた。 研究遂行途上に生じた問題点については次のように改善をはかる。(1)実験圃場の光条件の設定が計画より高く,弱光環境にたいする植物の反応を調べる点で不十分だったので,この点を改善して補充実験を行う。(2)ブナの子葉の光合成速度が測定できなかったので、種子を入手して実生を育て測定する。(3)野外の実生の死亡要因として動物による食害が重要であると指摘されているので調査項目に加える。以上の点で修正された8年度の研究計画の遂行により当初の研究目的が十分に達成されると思われる。
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