1996 Fiscal Year Annual Research Report
水界プランクトン食物連鎖を通じた生態学的転換効率の実験的研究
Project/Area Number |
07640845
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Research Institution | TOKYO METROPOLITAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡辺 泰徳 東京都立大学, 理学部, 教授 (20112477)
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Keywords | プランクトン / 食物連鎖 / 転換効率 / 微生物 / 細菌 |
Research Abstract |
水界食物連鎖の研究は古くからなされ、生態系概念の形成やリンデマンによる生態学的効率の問題提起など一般生態学理論に大きく貢献してきた。生産生態学のまとめとも言えたIBPでは各種の生態学的転換効率の定義の議論といくつかの測定がなされたが水界食物連鎖に重要な役割を果たしている微小生物の転換効率については測定例はきわめて限られていた。 本研究は湖沼プランクトンとしての細菌・ピコシアノバクテリア・藻類・微小鞭毛虫・繊毛虫・小型甲殻類の間の植物連鎖、及び溶存・懸濁態有機物についての生態学的転換効率の実測を目的とした。野外での測定が困難な項目は出来るだけ自然に近い実験条件を考慮して測定した。研究初年度には溶存有機物および微生物体の炭素量測定のため分析機器を改良して微量分析を可能にし以下のような転換効率の測定を行った。 湖水中溶存有機物→細菌:調和型の通常の湖水(琵琶湖・奥多摩湖など)では16から55%の効率が求められた。細菌→微小鞭毛虫:この原生動物は細胞が壊れやすく、また、細菌と分離が不可能だったので炭素量の測定が困難であった。そこで密度が違う湖水での画像解析からの細胞容積を有機物量に換算する方法を検討したが、細胞容積の正確な推定が出来なかった。微小鞭毛虫→甲殻類プランクトン:この両者の培養の成功からこの連鎖の存在が確実となったが転換効率の測定は出来なかった。さらに植物プランクトンによる生産有機物の細菌による分解での転換効率を測定し、40〜55%の効率が求められた。研究の2年目は食物連鎖過程を追跡するために、落葉に由来する溶存有機物の多い富栄養な池に小規模なメソコスムを設置し、微生物の変動を追跡した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 渡辺泰徳: "Limiting factors for bacterioplankton Production in mesotrophic and Hypertrophic Lakes : Estimation by ^3H thymidine incorporation" The Japanese J.of Limnology. 57(2). 107-117 (1996)
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[Publications] 渡辺泰徳: "Brief history in Limnological studies in Japan" Korean J.of Limnology. 1996(印刷中). (1996)