1996 Fiscal Year Annual Research Report
個葉形質に基づく温帯林植物群集の生理生態的構造の研究
Project/Area Number |
07640849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横井 洋太 北里大学, 一般教育総合センター, 教授 (90007758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 剛 北里大学, 一般教育総合センター, 助手 (60205747)
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Keywords | ブナ林 / 光合成特性 / 気孔伝導度 / 二次林 / 多様性 / 葉の厚さ / 林床種 |
Research Abstract |
(1)これまでの光合成に関しての実験室で行われた測定結果と実際の生育地での状態とを比較検討するために、丹沢桧洞丸山頂部のブナ個体群において衰退状態にある個体と、健全な個体の光合成諸特性の季節動態を、生育地のintactな状態と研究室における切り葉の状態で測定し、その結果の解析を行った。葉の展開後7月中旬まで、生育地での光飽和光合成速度は、実験室での切り葉による測定結果の80%〜110%程度であり、生育地でやや低めであるが有意な違いはなかった。しかし、8月以降は両調査木でこの割合が低下をし、9月末には50〜70%になった。この低下は気孔コンダクタンスや気孔底CO_2濃度の変化では説明が出来ず、現在その理由を検討中である。 (2)二次林林床木本群集の葉特性の多様性とその構造を、気孔コンダクタンスの光反応、葉の厚さ、葉面積、SLW、クロロフィル濃度などを指標として調査した。その結果、葉厚に関しては、ケヤキ、アカメガシワのように、葉厚が薄い種群とマユミ、アオキのように葉厚が厚い種群およびその中間の厚さで多くの種が含まれる種群が明瞭に分離をした。葉の薄い種群は、気孔コンダクタンスが大きく、葉の厚い種群はそれよりも小さなコンダクタンスを示したが光の強さや一日の時刻に対しての反応は殆ど見られなかった。中間の厚さの種群の気孔特性は多様であり、ウワミズザクラのような種では極めて小さなコンダクタンスが測定された。
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