Research Abstract |
1.カサノリV-ATPaseについて 1)A,Bサブユニットの遺伝子解析:Aサブユニットについては,カサノリtotalRNAのRT-PCRにより部分的なcDNAクローン(1,112bp)を得ていた。本年度は,欠けている5′非翻訳領域及びORFの構造を5′-RACEにより完成した。このcDNAクローンは,2,084bpから成り,46から1,887が蛋白質をコードするORF(613aa;M.W.67,371)であった。既に得ていたカサノリcDNAバンクからのcDNAクローン(2,169bp;ORF,75-1,916;613aa;M.W.67,362)と比較すると,5′非翻訳領域では47%,ORFでは95%,3′非翻訳領域では57%のmaximum matchingによる相同性を示した。Bサブユニットについても同様に5′-RACEにより、cDNAバンク由来のcDNAクローンに欠けていた5′比翻訳領域及びN末端領域の構造を明らかにした。totalRNA由来の部分的なcDNAクローンについても5′-RACEにより完全な解析を完成した。前者は,1,666bp(ORF,23-1,501;492aa;M.W.54,658)から成り,後者は,1,726bp(ORF,87-1,565;492aa;M.W.54,712)から成るクローンであった。両者を比較すると,5‘非翻訳領域では36%,ORFでは97%,3′非翻訳領域では59%の相同性を示した。 2) H^+輸送路16-kDa proteolipid の遺伝子解析:totalRNAのRT-PCRによる3‘-RACE及びMarathon kitを用いた5′-RACEにより,3種類のcDNAクローン(pVC1,pVC2,pVC3)を得た。pVC1は707bp(ORF,67-561;164aa;M.W.16,498),pVC2は782bp(ORF,51-554;167aa;M.W.16,698),pVC3は790bp(ORF56-562;168aa;M.W.16,843)から成るクローンであった。pVC2とpV3は,5′非翻訳領域とN末端から12アミノ酸に相違がみられるほかは一致するものであった。splicingの際に生じる分子多型と考えられる。pVC1は5′非翻訳領域・ORFでのcodon usage・3′非翻訳領域が明らかにpVC2,pVC3と異なるものであった。 2.カサノリH^+-PPaseについて 現在までに,totalRNAのRT-PCRにより579bpの遺伝子断片を得た。これを基にオリゴヌクレオチド類を合成し,Marathon kitを用いた5′-及び3′-RACEを進め,いくつかの候補クローンを得た。現在,塩基配列決定により,同定を進めている。
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