1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640870
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
井上 康則 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (50092143)
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Keywords | セネッセンス / 単離葉 / 反応中心クロロフィル / フィトクロム / 葉緑素 / クロロフィルa / b比 |
Research Abstract |
シロイヌナズナ単離葉のクロロフィル分解に対する波長効果を調べると、赤色光(R)と青色光は白色光と同様にクロロフィルの分解を抑制するが、近赤外光(FR)は暗黒と同程度のクロロフィル(Chl)の消失を誘導する。この際、FR)でのみChla/bが減少していた。 FRによるChlaとbの減少の時間経過を調べると、Chlaの減少はFRにより加速されるが、Chlbの減少はむしろ抑制された。クロロフィルを高速液クロで分離しChlaとbの量比を調べても同様な結果になり、この減少が測定系の誤差によるものではないことが明らかとなった。葉より抽出したChlにFRを照射してもこのような現象は観察されず、生体特有な現象である。タンパク質合成阻害剤を用いると、暗黒によるChl減少は抑制されるが、FRによる減少は抑制されない。さらに、岡崎・基生研の大型スペクトログラフを用いてChla/bの作用スペクトルを測定すると710nm付近にピークがあり、750nmまで効果が見られた。無傷な葉の吸収スペクトルを測定すると、750nmまでChlの吸収が延びている。これらの結果から、Chlaの分解を促進するFRの効果は、光合成系2の反応中心Chlaが光受容体になっており、FRの波長域においては系1が作動しないため、行き場を失ったエネルギーがChlを分解していると推定される。 FR照射により全Chl量の減少も促進される。この反応は720-800nmの波長域の光により誘導されることからフィトクロムの関与が考えられたが、短時間照射や間欠照射では効果が現れず、R/FR光可逆性は見られなかった。また、PhyA、PhyBどちらのフィトクロム欠損株もFRに対して反応を示した。この現象に対するフォトクロムの関与については今後の問題として残った。
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Research Products
(1 results)