1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640876
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 博之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00192716)
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Keywords | デンプン合成 / Wx遺伝子 / イネ / クローニング / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究は,まだ研究例の少ない同化デンプン合成系に関与する遺伝子の単離を目的としている.イネのWx遺伝子は種子の胚乳と花粉におけるデンプン(アミロース)の合成を制御している.この遺伝子の産物(Wxタンパク質)に対するポリクローナル抗体を用いてイムノブロット法によりいろいろな組織について解析したところ,登熟初期の種子や茎などに抗体と反応するWxタンパク質類似のバンドが検出された.これらのバンドはwx変異体を用いた場合でも検出されることから,Wxタンパク質に相同なアミノ酸配列を含む,wx座とは異なる遺伝子座に支配されているタンパク質と推定した.このうち,登熟のきわめて初期に発現しているタンパク質を(WRP1;Wx Protein-Related Protein 1)と命名し,解析を行った結果,WRP1について次のようなことが明らかとなった.(1)種子の中の果皮で特異的に発現する.これは免疫組織化学的な解析によっても確認された.(2)種子の発生の初期に強く発現し,その後減少する.強い発現が見られる時期は種子の果皮が良く発達し,強い緑色を呈している(すなわち光合成が盛んに行われている)時期に相当する.これらの結果から,WRP1は果皮組織に特異的に発現し,同化デンプンの合成に関与していることが示唆された.そこで,Wx遺伝子の変異体の発生初期の種子より得たmRNAよりcDNAライブラリーを作製し,イムノスクリーニング法でWRP1に対するcDNAクローンの探索を行った.その結果,いくつかの候補クローンを得た.このうちの1クローンは,果皮で強く発現し,しかも時期的パターンはWRP1のパターンと類似していることが判明した.今後はこのクローンがWRP1のcDNSであることを確認し,その塩基配列の決定,発現や昨日の解析を行う予定である.
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[Publications] Hirano,H.: "Tissue-dependent expression of the rice Wx^+ gene promoter in transgenic rice and petunia." Plant Cell Physiol.36. 37-44 (1995)
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[Publications] Hirano,H.: "A point mutation,G to T,causes the differenciation of the Wx^b allele from Wx^a allele,which is specific to Japonica rice." Rice Genet.News Lett.
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[Publications] Mikami,I.: "Genetic characterization of opaque endosperms." Rice Genet.News Lett.
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[Publications] 種子生理生化学研究会編: "種子のバイオサイエンス" 学会出版センター, 454 (1995)