1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640880
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
箸本 春樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (90134410)
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Keywords | Heterosigma akashiwo / 急速凍結法 / 色素体 / 色素体分裂 / 葉緑体 / 葉緑体分裂 / 葉緑体分裂リング / ラフィド藻 |
Research Abstract |
Heterosigma akashiwoの細胞を通常の化学固定によって固定するのは,従来非常に困難であったが,急速凍結-凍結置換法を成功させることによって,膜の微細形態と葉緑体分裂リングの観察を可能にした.そのことによって,当初の研究計画の最も主要な眼目であった葉緑体分裂リングの存在とその存在部位を明らかにすることができた.すなわち,H.akashiwoの葉緑体分裂リングが葉緑体外包膜の細胞質側表面(cERと葉緑体外包膜の間の区画)に存在することが明らかになった.この発見はcERをもつ葉緑体の起源に関する二次共生説を強く支持する証拠として重要な意義を持っている.また,cERの分裂の過程も明らかにすることができ,cERは葉緑体本体(包膜から内側の部分)とは時間的にも機械的にも異なる過程で分裂することが明らかになった.これらの知見によって,葉緑体分裂リングの普遍性がさらに支持され,cERと葉緑体包膜との関係がより明確になったことは,葉緑体と葉緑体分裂機構の進化に関する研究における重要な進歩と考えられる. これらについてはその内容を雑誌に投稿準備中である.葉緑体分裂リングを構成するタンパク質が核ゲノムにコードされていること,さらにアクチン様タンパク質である可能性が強いことが他の生物についての研究から既に示唆されているが(Hashimoto & Possingham 1989,Mita & Kuroiwa 1989,Hashimoto 1992など),上記のHeterosigma akashiwoの葉緑体リングも同様である可能性が高いと考えられる.そこで,現在、新たに見つかった葉緑体分裂リングとアクチン繊維など細胞骨格系との関連を免疫電顕法と蛍光抗体法によって調べているところである。
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