1995 Fiscal Year Annual Research Report
甲殻類心臓神経系ニューロンにおける神経伝達物質の超高感度HPLC分析
Project/Area Number |
07640905
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢澤 徹 東京都立大学, 理学部, 助手 (30106603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑沢 清明 東京都立大学, 理学部, 教授 (10015589)
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Keywords | HPLC / 甲殻類 / 心臓 / 神経伝達物質 / アセチルコリン / モノアミン / アミノ酸 / ニューロン |
Research Abstract |
甲殻類の心臓調節における神経伝達物質の特定を生化学的に行っている。材料には海産のオニヤドカリ、ワタリガニ、ロブスターなどをもちいた。心臓神経節、中枢の神経節、神経分泌器官(囲心器官)のホモゲネート中に存在している神経伝達物質(アセチルコリン、ドーパミンなどのモノアミンおよびグルタミン酸やGABAなどのアミノ酸)の含有量の決定を目指した。本年度は特に心臓神経節のアセチルコリンについて重点的に研究した。HPLC分析の甲殻類神経系への応用ははこれまでにほとんど前例がなかった。検査組織の重量は最低5mg前後が必要、しかし100mgに達するほど過多ではサンプルホモゲナイズ作業でかえって精度が落ちること、一回のHPLC注入における基準となる標準物質量および被測定物質量はそれぞれ10-100ピコグラムが最適であることなど、甲殻類神経組織中の神経伝達物質の超微量定量測定の為の基本条件をまづ技術面で明らかにした。ついで、これまでのわれわれの研究によって甲殻類では最も生理学薬理学的研究が進んでいるオニヤドカリ心臓神経系を用いて、アセチルコリンの定量を行った。16匹および22匹の材料から心臓神経節組織それぞれ7.22mgおよび3.74mgを得、HPLCサンプル中のアセチルコリンの含有量が4.0pmol/mg wet weightおよび41.4pmol/mg wet weightという値を得ることに成功した。ワタリガニでは3.7mgの心臓神経節から約3.7pmol/mgのアセチルコリンを,ロブスター24匹、38.2mgの心臓神経節からは129.4+3.2fmol/mg wet weightのアセチルコリンが検出できた。われわれは心臓神経節のペースメーカーニューロンがアセチルコリン作動性であることをオニヤドカリで薬理学的に示したが(1992)本研究でこれが生化学的にも指示された。さらに、系統進化学的に論議することが可能になった。ワタリガニやロブスターの心臓神経節からもアセチルコリンが検出されたことにより、ペースメーカーニューロンがアセチルコリン作動性であるというわれわれの結論は、甲殻十脚類全般に適用できるものと思われる。
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Research Products
(1 results)