1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640907
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
江口 英輔 横浜市立大学, 理学部, 教授 (90046003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟻川 謙太郎 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (20167232)
西村 顕治 慶応大学, 医学部, 教授 (80041846)
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Keywords | 深海 / 甲殻類 / 複眼 / ラブドーム / 視細胞 / 視感度 |
Research Abstract |
科学技術庁の海洋科学技術センター(横須賀市)の深海潜行挺 “しんかい2、000" により、相模湾沖の1、200メートルの深海底から深海性のエゾイバラガニを採集し、コントロールとして浅海性のイソカニダマシを平潟湾で採集し、両者の複眼の微細形態を観察し比較した。外見では両種の複眼には顕著な差は認められない。 エゾイバラガニの個眼の角膜や円錐晶体などの光学的装置はイソガニのそれに比べて約2-3倍ほど大きい。特徴的なことはイソガニの円錐晶体は円柱状になっており、網膜と接する部分でもほとんど小さくなっていない。 視細胞は個眼の網膜を構成する主要な細胞で、光を吸収し、光のエネルギーを生体情報に変換する感覚受容細胞である。一個眼の網膜は8個の視細胞からなり、光受容部位として特別に分化した光受容膜(ラブドーム、rhabdom)を持つ。ラブドームは細胞学でいう微絨毛(microvilli)の構造を示し、視物質を含み視覚興奮の初発反応の場である。エゾイバラガニの視細胞の最大の特徴は異常に発達したラブドームである。個眼の網膜層の90%以上がラブドームの膜で占められていることである。網膜全体の容積に体してラブドーム占める割合は、イソカニダマシでは15-30%程度であるのに対して、エゾイバラガニでは90%と圧倒的に大きくなっている。深海でエゾイバラガニが眼の感度を高めるためにラブドームを異常に発達させたことが分かる。形態学的なデーターから視細胞の感度を推定する理論的な数式、即ちM.Lundの式により、両種の感度を比較してみるとエゾイバラガニの方がイソカニダマシより約50-100倍感度がよい。これは反射色素細胞の影響は考慮していないので実際はこれよりさらに感度は高いと思われる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 島崎洋次: "Light dependent metabolic pathway of 3-hydroxyretinoidsin the eye of a butterfly, Papillo xuthus." Journal of Comparative Physiology,A.176. 661-671 (1995)
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[Publications] 島崎由美子: "Morphogenesis of the photoreceptive site and development of the electrical responses in the butterfly genital photoreceptors during the pupal period." Journal of Comparative Neurology. 363. 296-306 (1995)
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[Publications] 坂本克彦: "Two opsins from the compound eye of the crab,Hemigrapsus sangiuneus." Journal of Experimental Biology. 199. 441-450 (1996)
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[Publications] Peter Walla: "Spectral sensitivity of single photoreceptor cells in the eyes of the ctenid spider Cupiennius salei Keys." Zoological Science. (印刷中).