1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640914
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久田 光彦 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70000768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 志郎 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (80156819)
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Keywords | フタホシコオロギ / 誘引歌 / キチン質 / 羽化後成熟 |
Research Abstract |
本年度は成虫羽化後のコオロギの配偶行動発現までの成熟過程における行動変化を明らかにすることを中心に解析を行った。 1、雄の行動変化:雄成虫羽化直後からの行動発現を観察した。とくに誘引歌発音行動の発現時期,その後の歌声の音響学的性状の変化を追跡を行った。その結果、歌声の発現は羽化後少なくとも24時間以内には全く見られず、ほぼ48時間を境に発現確立が上昇することが明らかになった。 2、誘引歌の物理性状:鳴声の音域は成熟に伴って著しく変化することが明らかになった。サウンドスコープによる解析の結果、コオロギ鳴声はほぼ純音を成分とし、その振幅変調によって特徴づけられることが示された。羽化後最初の発音時には基音となる純音の周波数は低くフタホシコオロギではほぼ3kHzから始まり、72時間ほどの経過をへて約5.7kHzの最終的な周波数に到達する。なお、音響強度も次第に増加する傾向がある。 3、この変化は羽を構成するキチン質の硬化を反映していると見られる。環境温度を変化させると、誘引歌のプロフィル、すなわち振幅変調の頻度は高下するが、基音を形作る純音の周波数は変化しないことからも推論できる。 4、誘引効果の変化:この変化する誘引歌が雌にどのような誘引効果を持つかを雌の運動の自動記録装置を利用して測定した。発現当初の誘引歌、すなわち低い基音で構成される誘引歌の効果は著しく低く、周波数が上昇するに従って効果も上昇することが明らかになった。 5、これらの結果の一部を1995年9月ケンブリッジ大学で開かれた国際ニューロエソロジー会議で発表し、評価を得た。今後は誘引歌の音響学的性状の解析に平行して生理的内部機構の解析に移る。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hisada, M.: "Song development after the final molt in the cricket, Gryllus bimaculatus." Nervous System and Behavior. 372 (1995)
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[Publications] Namba, M. Nagayama, T. Takahata, M. and Hisaada, M.: "Desending modulation of nonspiking local interneurons in the terminal abdominal ganglion of the cravfish." Nervous System and Behavior. 459 (1995)
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[Publications] 久田 光彦: "大学で教えるべきこと(1)生物未履修者への生物実習" 比較生理生化学. 12/2. 199-202 (1995)
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[Publications] 久田 光彦: "大学で教えるべきこと(2)生物未履修者への生物実例" 比較生理生化学. 12/3. 292-298 (1995)