1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640914
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
久田 光彦 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70000768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 志郎 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (80156819)
|
Keywords | フタホシコオロギ / 誘引歌 / キチン質 / 成熟 |
Research Abstract |
1.翅の物理的性質、ことに固有振動数を測定するため、生体から分離した翅をその基部で保持しつつ発音周波数前後の周波数で振動を加え、その振幅をビデオカメラ記録上で測定することで、成熟の諸段階にある翅の「共振周波数」、および「Q」測定を行う装置を開発した. 2.これを用いて成虫羽化後、日を追っての共振周波数変化を解析した.この解析は明年度に向け継続される. 3.この共振周波数の経日変化と、正常の誘引歌の周波数の経日変化には平行関係であることが判明した.これは誘引歌の発音周波数が生物学的な翅の筋運動周期よりは、翅の物理的性質、ことにその主要成分であるキチン質の硬化に大きく依存していることを示していると解釈される。 4.翅運動筋の活動を筋活動電位を誘導することで測定する試みを行い、また、神経系の活動を記録する試みを行った。筋活動周期は、環境温度等の変化によって大きく変わるのに対し、誘引歌周波数はほとんど変化せず、その間の相関は低いことが明らかになった. これは、前記の結果と対応し、歌周波数はほぼ翅の物理性質によって定まるという見解を補強している. 5.液性の調節の分析については現在も継続して行っている。 6.若日令の雄は成熟度の高い雄の鳴声に応答し、定位、接近行動を示す.盛んに発音する成熟雄に接近して位置することによって、この成熟雄へ接近する雌との会合確率を高める効果があるかどうか、すなわちサテライト雄戦略がここで成立しているかどうかを、今後とも確かめる必要がある。
|
Research Products
(1 results)