1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640925
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
渡邊 信 富山大学, 教育学部, 助教授 (10126500)
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Keywords | 分子系統 / 18SrDNA / 緑藻 / クロレラ目 / クロロコックム目 / クロロサルシナ目 / ヨツメモ目 |
Research Abstract |
平成9年度に18SrDNAの塩基配列を確定し系統関係を考察したものは以下のとおりである。 1.クロレラ目:Lobosaphaera tilolensisはトレボウキシア藻綱のTrebouxiaなどの遊走子形成緑藻と同じcladeに位置した。Tetraedron caudatumはアミミドロやクンショウモとcladeをつくった。本種はアミミドロ科の接合子に似ていると以前から指摘されており、今回の分子系統解析でそのことが裏付けられた。 2.ヨツメモ亜目:海底に着生し寒天質におおわれたコロニーを形成するPalmophyllumはアオサ藻綱、緑藻綱、トレボウキシア藻綱などとは系統が遠く、鞭毛のない浮遊性のプラシノ藻綱に近いところに枝をつくった。今回の結果をもとにプラシノ藻綱との分子系統的あるいは生理学的な比較が必要である。 3.クロロコックム目とクロロサルシナ目:1)ChlorosarcinopsisのC.mimor,C.dissociata,C.delicata,C.halophilaの4種について調べたところ、はじめの3種は緑藻綱の時計回り型のcladeに入ったが、C.halophilaはアオサ綱ヒビミドロ目のcladeに属した。電子顕微鏡によって形態学的にもこのことを確かめ、新属をつくる必要があることがわかった。2)Pseudocharacium americanumはすでに調べられていたIgnatius tetrasprorusと一つのcladeをつくった。大きくみてアオサ綱に入るらしいが、今まで知られていたcladeのどれとも組むことがないので、詳しい検討が必要である。3)ヨツメモ目に入れられてきたAsterococcus superbusはこの目の2本鞭毛のものとcladeをつくらず、むしろ葉緑体の形態が同じChlamydomonas fimbriataと一つのcladeを形成した。4)tetradを形成するクロロサルシナ目のBorodinellopsis,Axilosphaeraは緑藻綱の時計回り型のTetracystis cladeにはいり、sarcinoid形成グループとは異なる系統であることが示された。5)海産のNeochloris sp・はアオサ綱ヒビミドロ目のcladeに位置し、新属であることが明らかになった。
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