1995 Fiscal Year Annual Research Report
わが国のニホンアカガエルにおける種内分化に関する研究
Project/Area Number |
07640931
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
住田 正幸 広島大学, 理学部, 講師 (10163057)
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Keywords | 種内分化 / 生殖的隔離 / 雑種不妊 / アロザイム / ミトコンドリアDNA / 無尾両生類 / ニホンアカガエル |
Research Abstract |
わが国のニホンアカガエルという種の遺伝的構造を知り、種内分化の実態を解明するため、今年度は本州および九州の20集団から集めたニホンアカを用いて、各集団間で人工授精法によって種内交雑を行い、これらの種内雑種について性を調べ、雌と雄の割合を比べるとともに、成熟した雄の精巣の精子形成の異常の有無およびその程度を、組織学的ならびに染色体学的に調べた。その結果、20集団間には配偶子隔離や雑種致死による隔離はないが、東部と西部、および北西部と西部との間の雑種には雄が著しく多く、また東部、西部、北西部の3つのグループはそれぞれ雑種雄不妊によって互いに繁殖的に隔離されていることがわかった。このような雑種雄不妊は、減数分裂時の相同染色体の対合がうまくいかず、一価染色体が形成され精子形成が異常になるためであることもわかった。これらの結果については、二編の論文として報告し、そのうち一編はすでに出版され、もう一編は現在印刷中である。また、上記交配に用いたニホンアカについて、各個体の骨格筋や肝臓から抽出した15種類のアイソザイムと3種類の血液タンパク質をデンプンゲル電気泳動法によって分析し、25遺伝子座における対立遺伝子頻度をもとに、Nei(1972)の方法によって各集団間の遺伝的距離を求め、UPGMA法によって系統樹を作製した。その結果、わが国のニホンアカは東西2つのグループに大別できること、本州北西部においていくつかの遺伝子座で東部からの遺伝子浸透がみられことなどがわかった。また、集団によってこれらの遺伝子座と性との連鎖関係が異なることから、性決定遺伝子座が集団によって異なる染色体上にあることもわかった。これらの結果については、すでに三編の論文として出版されている。平成8年度には、ミトコンドリアDNAのRFLP分析を行い、DNAレベルでわが国のニホンアカの種内分化の実態をさらに明確にしていく計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sumida, M.: "Abnormalities of meioses in reciprocal hybrids between the Hiroshima and Ichinoseki populations of Rana japonica." Experientia. 50. 860-866 (1994)
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[Publications] Sumida, M.: "Genetic differentiation of the Japanese brown frog, Rana japonica, elucidated by electrophoretic analyses." Sci. Rep. Lab. Amphibian Biol., Hiroshima Univ.13. 137-171 (1994)
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[Publications] Sumida, M.: "Geographic variability of sex-linked loci in the Japanese brown frog, Rana japonica." Sci. Rep. Lab. Amphibian Biol., Hiroshima Univ.13. 173-195 (1994)
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[Publications] Sumida, M.: "A pronounced sex difference when two linked loci of the Japanese brown frog Rana japonica are recombined." Biochem. Genet.32. 361-369 (1994)
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[Publications] Sumida, M.: "Incipient intraspecific isolating mechanisms in the Japanese brown frog Rana japonica." J. Herpetology. 29(in press). (1995)