1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本産マツヒラタハバチ亜科(ハチ目、ヒラタハバチ科)の系統分類学的研究
Project/Area Number |
07640943
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 明彦 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50183835)
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Keywords | 系統分類 / 昆虫 / ハチ目 / ヒラタハバチ科 / マツヒラタハバチ亜科 |
Research Abstract |
1)平成8年6月15日から6月23日まで、ならびに7月6日から7月14日まで北海道各地で調査をおこない、多くの基礎資料を得た。数年来、支笏湖周辺のカラマツ林に2種のマツヒラタハバチが大発生しているが、このほかに網走地方などのカラマツ林に別のマツヒラタハバチが発生していることがわかり、これがヨーロッパからシベリアにかけて分布するCephalcia alpina(Klug)またはそれに近縁の別種であることが明らかになった。現在同種の分類学的検討を行っている。 2)次の内容の5論文を発表した。(1)ロシア科学アカデミー動物学研究所、モスクワ大学動物学博物館、およびスウェーデン自然史博物館の所蔵標本を検した結果、ロシア、ウクライナ、カザフスタン、スウェーデンからのPamphilius属9種の新分布が明らかになった。(2)韓国産のAcantholyda属マツヒラタハバチを再検討し、新種A.parkiを含む3種を認めた。新たに記載・命名されたA.parkiは日本にも産するアトグロヒラタハバチに近縁で、韓国ではチョウセンゴヨウの大害虫として知られる。(3)ヒラタハバチ科に近縁で、ハチ目の祖先的形質を最も多く残していると考えられるナギナタハバチ科Pleroneura属の一種、アカマルナギナタハバチを本州から初めて記録した。この種はこれまで九州からしか知られていなかった。(4)大英自然史博物館、スウェーデン自然史博物館、モスクワ大学動物学博物館、フンボルト大学動物学博物館の所蔵標本をもとに、6種のヒラタハバチを、本州、イラン、オーストリア、マケドニア、アルメニアなどから新たに記録した。(5)これまで、ヨーロッパおよび韓国からしか知られていなかったPamphilius histrio Latreilleを日本(北海道)から初めて記録した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Shinohara: "New distribution records of Pamphiliid sawflies (Hymenoptera) from Russia,Ukraine,Kazakhstan and Sweden" Bulletin of the National Science Museum,Series A.22・2. 107-112 (1996)
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[Publications] A.Shinohara: "Conifer-feeding webspinning sawflies of the genus Acantholyda (Hymenoptera,Pamphiliidae) from Korea" Insecta Koreana,Chuncheon. 13. 91-104 (1996)
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[Publications] A.Shinohara: "Pleroneura hikosana (Hymenoptera,Xyelidae) found in Honshu,Japan" Japanese Journal of Entomology. 64・4. 728- (1996)
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[Publications] A.Shinohara: "New or noteworthy distribution records of six Palearctic species of Pamphiliid sawflies (Hymenoptera)" Bulletin of the National Science Museum,Series A. 23・1. 69-72 (1997)
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[Publications] A.Shinohara: "Pamphilius histrio (Hymenoptera,Pamphiliidae) found in Hokkaido,the first record from Japan" Japanese Journal of Entomology. 65・1. 193-194 (1997)