1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640952
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沢 秀行 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60027498)
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Keywords | ニホンザル / パタスザル / チンパンジー / 老齢期 / アクティビティ / 社会性 / 社会的環境 |
Research Abstract |
課題の性質上、長年月にわたり個体識別のもとに継続研究の行われている個体群が対象になる。このためサンプル数が少なく、一般性を論じる資料は多くないが、次のような示唆が得られた。 1.人為的餌付けのほとんど行われていない野生チンパンジーにおいて、後繁殖年齢雌のアクティビティは必ずしも低くない。しかし、日常的に離合集散し、単独行動の多いチンパンジーの集団において、このような雌は単独で広範囲を移動することが少ない。個体の行動力低下を集団(パーティ)への高い依存度によって補っていると言えるかもしれない。 2.餌付け集団の人工餌場で観察されるかぎり、後繁殖年齢雌のアクティビィは必ずしも低くはない。たとえ低くても、孤立性が高く社会性が低いとは限らない。後者については、自ら他個体と社会関係を持とうとしなくても多数の他個体(主として雌)が老齢雌と関係を持とうと接近したりグル-ミングをする(与える)ことが示唆された。 3.野生パタスザルは高繁殖短寿命で、後繁殖年齢雌は発見できなかった。しかしその中でも、高年齢雌には成熟した若い(自分の)娘と優劣順位が逆転する例が観察された。微妙な差ではあってもアクティビティの低下が原因していることが示唆された。 今後は積極的な(与える)社会性と受動的な(受ける)社会性を分けて検討する必要、また、老齢雌にとって近親者の多少も社会的環境として考慮する必要が示唆された。なお、人口学的資料の検討は現在進行中である。
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