1995 Fiscal Year Annual Research Report
半磁性半導体CdMnFeTeにおける多値記憶現象と光誘起磁化に関する研究
Project/Area Number |
07650020
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 徹哉 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (20162448)
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Keywords | 半磁性半導体 / スピングラス / 多値記憶 / 光誘起磁化 / ファラデー効果 |
Research Abstract |
Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe(x=0.37,y=0.01)試料で観察される高温スピングラスに伴う多値記憶現象および光誘起磁化が、束縛磁気ポーラロンの成長と関連するとの見通しを確認するために、CdMnTe試料の電気抵抗・ホ-メ効果および光誘起磁化測定を行った。 まず、磁気ポーラロンの束縛中心を同定するために電気的性質を調べた。CdMnTeではホールがキャリアであり、2種のアクセプタが存在し、非常に強く補償されていることが明らかとなった。さらに、これらの準位とCd空孔との関連を調べるために、Cd蒸気中で試料の熱処理を行ったが、電気・磁気的性質に本質的な影響は観測されなかった。以上の電気測定から束縛中心がアクセプタ準位であることはほぼ明かとなったが、準位の同定までには到らなかった。一方、Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe(x=0.37,y=0.01)の電気測定では、電気抵抗が非常に大きいため十分な精度が得られなかった。 CdMnTeの光誘起磁化測定では、Mn濃度の増加と共に光誘起磁化の絶対値は減少するが、磁場0の残留値が増加することを見出した。この光誘起磁化の現象は束縛磁気ポーラロンに含まれるMnスピン数の組成依存性から説明され、光誘起磁化と束縛磁気ポーラロンとの強い相関および残留光誘起磁化とスピングラス秩序との関連が確認された。この結果は、Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe(x=0.37,0=0.01)で巨大光誘起磁化がFeモーメントにより促進される磁気ポーラロンの成長に起因するとの見通しを支持する。 光誘起磁化を光学的に観測するために、光誘起ファラデー効果測定系を作製した。この系では、光ファイバーにより磁化誘起光を試料に照射し、その照射位置を変化させながら測定光によりファラデー効果を測定することが可能である。現在その系の調整を進め、測定準備を行っている。
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[Publications] Y. Irie, T. Sato and E. Ohta: "Observation of high temperature spin freezing behavior in Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe" Physical Review B. 51. 13084-13090 (1995)
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[Publications] Y. Irie, T. Sato and E. Ohta: "Weak ferromagnetic behavior of Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe(y〜0.01)" Journal of Magnetism and Magnetc Materials. 140-144. 2027-2028 (1995)
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[Publications] Y. Irie, T. Oku, Y. Yamaguchi, T. Sato and E. Ohta: "High temperature spin freezing behavior in Cd_<1-x-y>Mn_xFe_yTe" Journal of Crystal Research and Technology. (印刷中). (1996)
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[Publications] T. Sata, T. Taniyama, T. Oku, S. Ito and M. Takeda: "Magnetization Process in helical-spin glass reentrant Cr_<0.81>Mn_<0.19>Ge studied by neutron depolarization analysis" Journal of Crystal Research and Tochnology. (印刷中). (1996)